これだけは知っておきたい合奏用語かんたん解説!! 第1回 ドイツ音名と実音
指揮者「みんな1回ベーの音出してくれる?」
奏者(は?べーって何????)
皆さんこんにちは!
このブログの筆者のドミトリーです!(^^)/
今回からは、合奏用語解説と銘打ちまして、吹奏楽の合奏でよく使われる言葉について解説をしていきます。
初めて合奏に加わる人にもわかるよう簡単に解説しますので、この記事を読んで指揮者の言っていることをどんどん理解していきましょう!(^^♪
記念すべき第1回は「音の名前」について解説します。
合奏では普段聞きなれない「ベー」とか「ツェー」とかの言葉が飛び交います。
今回はこいつらが一体なにもので、なんで指揮者はこんな言葉を使っているのかについて簡単に解説していきます。
この記事を読めば、音の名前の種類と指揮者がなぜドイツ音名を使うのかについて理解していただけることでしょう。
また、ドイツ音名の覚え方についても解説していますので、
指揮者の要求する音を瞬時に出せるようになります。
本記事はドイツ音名を総括的にまとめていますので、初心者の方には分かりにくいかもしれません。
初心者の方は自身の楽器に合ったドイツ音名の覚え方をお勧めします。
↓の記事で解説していますので、ぜひご参照ください。(2021年7月10日)
ーーー簡単な自己紹介ーーー
私は現在とある一般サークルのバンドで指揮者をしています。
しかしこれまで音楽の勉強を真面目にやったことがない「愚か者」でした。
ドラッカーの本を読んで、これを猛省し、現在は音楽の勉強をするようになりました。
ここでは音楽初心者から経験者まで、ご自身の音楽活動に役立つように、私が勉強したことをわかりやすく発信していきます!
Ⅰ.「ベー」っていったい何者なの?(音名の種類)
始めに、冒頭で出た「ベー」について解説します。
結論を先に言ってしまえば、「ベー」とはアルファベットの「B」をドイツ語で発音したもので、「シ♭」の音のことです。
つまりドイツ語の「シ♭」のことですね。
「ドレミファソラシ」も音の名前ですが、これはイタリア語です。
音の名前のことを音名と呼び、よく使われる音名にはほかにも英語や日本語バージョンがあります。
なんだ。
それなら最初から「ドレミ」で言えばいいじゃないか。
ほーほー、なるほど。
指揮者の人たちは頭がいいアピールのために、医者の書くカルテの真似をして、
わざわざドイツ語で音を言っているのか。
そうかそうか、なんて偉そうぶる醜い奴だ!!
などとは思いたくなるかもしれませんが、
ちょっと待ってください。(´;ω;`)
指揮者がわざわざドイツ語で音を言っているのには理由があるのです。
Ⅱ.指揮者がドイツ音名を使う理由(同じ「ド」でも違う音)
指揮者がわざわざドイツ語で音を言うのは
楽譜に書いてある音(記譜音)と実際に鳴る音(実音)が違う
からなのです。
これだけじゃちょっと意味が分かりませんね。
実例を見ていきましょう。
まずはピアノの場合です。
ピアノでは記譜音と実音は同じです。
なので、楽譜に「ド」と書かれていれば、実際に「ド(C)」の音が鳴ります。
イメージ通りですね。
では次に、「フルート、アルトサックス、ホルン、トランペット」の4人で合奏する場合を見てみましょう。
みんな楽譜には「ド」の音が書かれています(記譜音はド)。
これを一斉に演奏した場合は↓のような音が鳴ります。
なんとも耳をふさぎたくなるような、ひどい音ですね。
どうも色々な音が混ざっているようです。
このように、特にアルトサックス、ホルン、トランペットでは
記譜音と実音が違うのです。
しかも、同じ「ド」の表記でも楽器によってその実音は異なります。(上図参照)
では、指揮者がみんなに同じ音を出してほしいときは、どんな指示を出せばいいでしょうか?
実際に鳴る音。つまり実音で指示を出せば、演奏者は理解してくれそうですね。
「実音のドの音を出して」と指示した場合は↓のようになります。
それぞれが対応した記譜音に変換したことでみんな同じ音が出ていますね(^^♪
とすると指揮者は合奏で実音さえ言っていればよいのでしょうか?
実は実音で指示をした場合のデメリットもあります。
実音では、奏者が実音を記譜音に変換する必要があります。
よって、たくさんの音があるフレーズの一部だけを指示するような場合、
記譜音をそのまま言ったほうが奏者には伝わりやすいです。
また、運指について話をするときは、実音よりも記譜音で話したほうがわかりやすい
とうこともあります。
このように、指揮者は記譜音での指示も必要だし、実音での指示も必要なのです。
そうした状況で編み出されたのが
音名を分ける
という手法です。
指揮者が記譜法で指示する場合はイタリア音名をよく使います。
そして、実音で指示する場合はドイツ音名をよく使うことにしています。
音名を分けることで奏者は、記譜音の「ド」なのか、実音の「ド」なのか、瞬時に理解することができるのです。
指揮者がドイツ音名を使う理由のまとめ
記譜音と実音が異なる楽器があるので、
指揮者は記譜音をイタリア音名、実音をドイツ音名として
使い分けて指示を出しているのです。
つまり、「フルート、アルトサックス、ホルン、トランペット」の4人で合奏するとき
指揮者が「ドの音を出して」と言った場合。
指揮者が「C(ツェー)の音出して」と言った場合。
という指示になります。
実音での指示は奏者に変換する手間をかけてしまいますが、指揮者が同じ音をみんなに出してほしいときにはどうしてもドイツ音名で指示したほうが早いです。
なので指揮者は実音での指示を頻繁に出してきます。
残念ですが、合奏に参加する奏者にとって
・ドイツ音名
・自分の楽器の記譜音と実音の関係
の知識は必須です。
でも安心してください!
ドイツ音名は案外すぐに覚えられるものです!
実音と記譜音の違いもこの記事を読めばすぐに理解できるものですよ!(^^)/
Ⅲ.覚えよう!ドイツ音名
以降の記事はドイツ音名を総括的にまとめているので初心者には分かりづらいです。
初心者の方は自身の楽器に合ったドイツ音名の覚え方をお勧めします。
↓の記事で解説していますので、ぜひご参照ください。(2021年7月10日)
ドイツ音名はそんなに複雑なものではありません。
気楽に覚えていきましょう。(*^-^*)
覚えるステップは3つです!
1.全音階(♯や♭がない音階)を覚える。
2.フラット系を覚える。(法則があるのですぐ覚えられます)
3.シャープ系を覚える。(法則があるのですぐ覚えられます)
以上です!
皆さんがよく知っているイタリア音名と比較して説明していきますね。
ついでに、和音を表すときにはアメリカ音名をよく使うので、この機会に一緒に覚えてしまいましょう!!(^^)/
1.ドイツ音名を覚えよう(全音階編)
では早速ドイツ音名の全音階を覚えていきましょう。
まずは一覧を図にしましたので、確認してみてください(*^-^*)
さて、察しの良い方はお気づきかもしれませんが、
アメリカ音名とドイツ音名の表記はほとんど同じです。
まずは簡単なアメリカ音名から覚えましょう。
アメリカ音名では「ラ」を基準にして「ABCDEFG」のアルファベット順に並んでいることにお気づきでしょうか?
つまりアメリカ音名で「ドレミファソラシド」は「CDEFGABC」となるわけですね。
アメリカ音名の読みは、アルファベットをそのまま英語読みすればOKです。
はい!
あなたは今アメリカ音名をマスターしました!!
素晴らしい!!
次に本題のドイツ音名です。
ドイツ音名でも基本的には「ラ」を基準に「ABCDEFG」の順で並んでいるのですが、
「シ」の音が「H(ハー)」となっていて、「B(ベー)」は「シ♭」に割り当てられています。
つまり、ドイツ音名で「ドレミファソラシド」は「CDEFGAHC」となるのですね。
ついでに「シ♭」は「B」ですね。
ドイツ音名の読みはアルファベットをドイツ語で読んだものと同じです。
少し慣れるのに時間はかかりますが、10分もあれば覚えられるでしょう。
次のステップであるフラット系の一つはもう覚えてしまいました。
すごい成長です!!
どんどん覚えていきましょう!!(^^♪
~補足~
どうして「シ♭」が「B」となったのでしょう?
これは中世時代の習慣から来ています。
中世のドイツ音楽の旋律では「シ」の音を半音下げた「シ♭」で歌うことが多かったそうです。
そこで、ドイツではこの音を「B(ベー)」とし、♭がつかない音をアルファベットの8番目の「H(ハー)」としたのです。
小村 公次 著「音楽のあゆみと音の不思議4 音楽のしくみとルール」14P参照
2.ドイツ音名を覚えよう(フラット系編)
さて、ここでは♭がついた時のそれぞれの音名について覚えていきましょう。
まずはリストにしていますので、そちらをご覧ください。
さて、ここでも説明が簡単はアメリカ音名から説明します。
アメリカ音名では音の後に「フラット」を足すだけです。
簡単でしょ?
あなたは今、アメリカ音名のフラット系をマスターしました。
すさまじい成長スピードです!!Σ(・□・;)
次にドイツ音名です。
ドイツ音名では音の後に「es」を足します。
しかし例外が2つあります。
1.もともと母音である音には「s」だけを足します。(AsとEs)
2.先にも説明しましたが「H」のフラットは「B」となっています。
ちょっと難しいですが、ここは気合で踏ん張って覚えましょう。
ポイントは【♭=「es」】ということです。
このあとのシャープ系とごっちゃにならないよう、慎重に!
3.ドイツ音名を覚えよう(シャープ系編)
ドイツ音名もここまで来たならあと一歩です。
シャープ系も一覧にしていますので、まずはご確認ください。
アメリカ音名は特に言うことありません。
「シャープ」を音名の後に足すだけです。
非常にシンプル!
アメリカ音名はこれで完璧です!
すごい!!(^^)/
続いてドイツ音名です。
ドイツ音名のシャープ系は「is」を足して表します。
フラット系と違い、母音の後にも「is」を足しますし、「B」のような例外もありません。
すべてに「is」を足してやりましょう。
これでドイツ音名はすべて覚えたことになります。
(厳密にいうとダブルフラットやダブルシャープがありますが、これは別の音で言い換えができますので、初心者向けの今回では割愛しています。)
フラット系は「es」、シャープ系は「is」で非常に似ているため、最初は混同しやすいと思います。
そんな時は上の表を見直して、ゆっくり覚えていってください。(*^-^*)
素晴らしい!!
あなたは今ドイツ音名をマスターしました。
これで指揮者が実音で指示したときに瞬時にその音を理解できるようになりましたね!!
ということで、以降は記譜音をイタリア音名、実音をドイツ音名で記載していきます。
え?
実音がわかっても自分の楽器のどの音がどの実音に対応しているのかわかないって?
そのことに気が付くとは素晴らしい!!
では次に楽器別の「実音と記譜音の関係」について解説していきましょう。
Ⅳ.自分の楽器の「記譜音と実音の関係」を理解しよう
さて、ドイツ音名をマスターした後は
自分の楽器で思い通りの実音を出せるようになる必要があります。
ここでは、楽器ごとに「記譜音と実音の関係」を説明しますので、
自分が担当してる楽器の部分を読んで、合奏で実音指示が出たときにすぐその音が出せるようになりましょう!(^^♪
inC(ピッコロ,フルート,オーボエ,トロンボーン,ユーフォ,チューバ,弦バス,鍵盤楽器)
この人たちは、ピアノと同じく、記譜音と実音が同じ人たちです。
超幸運です!!
ドイツ音名を覚えてしまえば、そのまま合奏で活躍できてしまいます(^^♪
inB(B♭クラ,バスクラ,ソプラノサックス,テナーサックス,トランペット)
この人たちは残念ながら記譜音と実音が違いますので、読み替えの必要があります。
ではどのように違っているのでしょうか?
下の表を見てください。
このように、【「ド」=「B」】となっているのがわかりますね。
クラリネットをよく「ベークラリネット」と言いますがこの「ベー」はドイツ音名の「B」のことを指していて、「ド」の運指で「B」の音が鳴ることを意味しています。
また、記譜音に♭はありませんが、実音で表記すると♭が2つあるのがお分かりいただけと思います。
なぜ♭が2つ付くのかについては、調についての知識が必要です。
予備知識なしで感覚的に説明すると、
【「ドレミファソラシ」と同じ感じを「シ♭」を起点にしてやろうとすると♭が2つ必要になる】
ということです。
~補足(感覚的な説明じゃわかんねって人向け)~
間に半音階の音が入る2つの音を全音と言います(ドとレの関係など)。
それに対して、間に音が入らないものを半音と言います(ミとファの関係など)。
「ドレミファソラシド」は「全全半全全全半」という並びになっていて、
この並びを守ったまま「シ♭」から始めた場合は、
「シ♭ドレミ♭ファソラシ♭」となり、最初と最後のシ♭は同じなので、
♭は2つとなります。
急に難易度は上がった気がしますね。(´;ω;`)
このあたりはいろいろ理屈で考えるよりも、覚えてしまったほうが早いです。
でも一度にすべて覚えるのは大変なので、おすすめの順番を紹介しますね。
1.【「C(ツェー)」=「レ」】を最初に覚えよう
【「C(ツェー)」=「レ」】であることを利用して、実音と運指を確認していきます。
「F(エフ)の音出して」と言われたら、「レ」の運指から一つずつ、「C、D、Es、F」と上げていきます。(【「ファ」=「Es(エス)」】であることを忘れずに)
すると【「F(エフ)」=「ソ」】ということがわかります。
このように「C」=「レ」から一つずつ音を確認していきます。
2.【「F(エフ)」=「ソ」】を覚えよう。
「C(ツェー)」=「レ」に慣れてきたら、【「F(エフ)」=「ソ」】も基準に加えましょう。
「G(ゲー)の音出して」と言われたら「ソ」の指から「F、G」と上げていきます。
すると【「G(ゲー)」=「ラ」】ということがわかります。
基準が2つになることで、今までよりも変換が早くなると思います。
3.全音階のドイツ音名と記譜音の関係を覚える。
2.と同様にして、基準の音を増やしていきます。
最終的にすべての全音階の音がすぐにドイツ音名に変換できるようにしましょう。
「ベー」と言われたら「ド」を吹く。
「エス」と言われたら「ファ」を吹く。
という様に1ステップで変換できることが望ましいです。
4.半音階のドイツ音名と記譜音を覚える。
全音を覚えたら、あとは半音ずらすだけです。
「Ges(ゲス)の音出して」と言われたら、
(1)「G(ゲー)」だから「ラ」
(2)その半音下だから「ラ♭」
というように考えます。
全音がわかっていれば半音はすぐに対応できると思います。
5.半音階も1ステップで変換できるようにする。
ここまで来たならあとは数をこなすだけです。
4.のステップを繰り返していると、そのうちこのレベルに到達すると思います。
ここまで来れば実音はもう怖くありません。(^^)/
inE♭(E♭クラリネット,アルトクラリネット,アルトサックス,バリトンサックス)
上で説明した楽器と同様に、この人たちも残念ながら記譜音と実音が違います。
読み替えが必要です。(´;ω;`)
とりあえず、どのように違っているのか?
下の表を見てください。
このように、【「ド」=「E♭」】となっているのがわかりますね。
アルトサックスの楽譜にはよく「inE♭」と書かれていますが、これは、「ド」の記譜が「E♭」の音であることを意味しています。
急に難易度は上がった気がしますね。(´;ω;`)
上のinBの楽器の時にも書きましたが、このあたりはいろいろ理屈で考えるよりも、覚えてしまったほうが早いです。
でも一度にすべて覚えるのは大変なので、おすすめの順番を紹介しますね。
(inBのときと同じやり方ですが、、、)
1.【「C(ツェー)」=「ラ」】を最初に覚えよう
【「C(ツェー)」=「ラ」】であることを利用して、実音と運指を確認していきます。
「F(エフ)の音出して」と言われたら、「ラ」の運指から一つずつ、「C、D、Es、F」と上げていきます。
すると【「F(エフ)」=「レ」】ということがわかります。
このように「C」=「ラ」から一つずつ音を確認していきます。
2.【「F(エフ)」=「レ」】を覚えよう。
「C(ツェー)」=「ラ」に慣れてきたら、【「F(エフ)」=「レ」】も基準に加えましょう。
「G(ゲー)の音出して」と言われたら「レ」の指から「F、G」と上げていきます。
すると【「G(ゲー)」=「ミ」】ということがわかります。
基準が2つになることで、今までよりも変換が早くなると思います。
3.全音階のドイツ音名と記譜音の関係を覚える。
2.と同様にして、基準の音を増やしていきます。
最終的にすべての全音階の音がすぐにドイツ音名に変換できるようにしましょう。
「ベー」と言われたら「ソ」を吹く。
「エス」と言われたら「ド」を吹く。
という様に1ステップで変換できることが望ましいです。
4.半音階のドイツ音名と記譜音を覚える。
全音を覚えたら、あとは半音ずらすだけです。
「Ges(ゲス)の音出して」と言われたら、
(1)「G(ゲー)」だから「ミ」
(2)その半音下だから「ミ♭」
というように考えます。
全音がわかっていれば半音はすぐに対応できると思います。
5.半音階も1ステップで変換できるようにする。
ここまで来たならあとは数をこなすだけです。
4.のステップを繰り返していると、そのうちこのレベルに到達すると思います。
ここまで来れば実音はもう怖くありません。(^^)/
ちなみに、inE♭の実音読みにはすこし裏技があります。
じつは、ト音記号をあたかもヘ音記号のようにして読むと、ほとんど実音表記と同じになるのです。
例えば、ト音記号の「ミ」の音の位置は、ヘ音記号では「ソ」になります。
inE♭の「ミ」の実音は「G」つまり「ソ」で、同じです。
ヘ音記号の譜読みが慣れている人はぜひ使ってみてください。(*'ω'*)
inF(イングリッシュホルン,ホルン)
最後に紹介するのはイングリッシュホルンとホルンです。
上で説明した楽器と同様に、この人たちも残念ながら記譜音と実音が違います。
読み替えが必要です。(´;ω;`)
とりあえず、どのように違っているのか?
下の表を見てください。
このように、【「ド」=「F」】となっているのがわかりますね。
ホルンの楽譜にはよく「inF」と書かれていますが、これは、「ド」の記譜が「F」の音であることを意味しています。
急に難易度は上がった気がしますね。(´;ω;`)
上の楽器の時にも書きましたが、このあたりはいろいろ理屈で考えるよりも、覚えてしまったほうが早いです。
でも一度にすべて覚えるのは大変なので、おすすめの順番を紹介しますね。
(inB、inE♭のときと同じやり方ですが、、、)
1.【「C(ツェー)」=「ソ」】を最初に覚えよう
【「C(ツェー)」=「ソ」】であることを利用して、実音と運指を確認していきます。
「E(エ-)の音出して」と言われたら、「ソ」の運指から一つずつ、「C、D、E」と上げていきます。
すると【「E(エ-)」=「シ」】ということがわかります。
このように「C」=「ソ」から一つずつ音を確認していきます。
2.【「F(エフ)」=「ド」】を覚えよう。
「C(ツェー)」=「ソ」に慣れてきたら、【「F(エフ)」=「ド」】も基準に加えましょう。
「G(ゲー)の音出して」と言われたら「ド」の指から「F、G」と上げていきます。
すると【「G(ゲー)」=「レ」】ということがわかります。
基準が2つになることで、今までよりも変換が早くなると思います。
inFの場合は「F」=「ド」なので、ここはすぐにできるようになると思います。
3.全音階のドイツ音名と記譜音の関係を覚える。
2.と同様にして、基準の音を増やしていきます。
最終的にすべての全音階の音がすぐにドイツ音名に変換できるようにしましょう。
「ベー」と言われたら「ファ」を吹く。
「デー」と言われたら「ラ」を吹く。
という様に1ステップで変換できることが望ましいです。
4.半音階のドイツ音名と記譜音を覚える。
全音を覚えたら、あとは半音ずらすだけです。
「Ges(ゲス)の音出して」と言われたら、
(1)「G(ゲー)」だから「レ」
(2)その半音下だから「レ♭」
というように考えます。
全音がわかっていれば半音はすぐに対応できると思います。
5.半音階も1ステップで変換できるようにする。
ここまで来たならあとは数をこなすだけです。
4.のステップを繰り返していると、そのうちこのレベルに到達すると思います。
ここまで来れば実音はもう怖くありません。(^^)/
ちなみに、ホルン奏者にとって楽譜の読み替え能力はとても重要です。
特に古典派(バッハ、モーツァルト、ベートーベン)のクラシック音楽を演奏する場合にはinCやinE♭、ここで紹介していないinDの楽譜もあります。
そもそも、現在のホルンには当たり前についているバルブやロータリーは、19世紀のロマン派にはいってから開発されたものです。
古典派の音楽が盛んだった18世紀ごろ、バルブやロータリーのないホルンは
自然倍音(ドミソシ♭)の音しか出すことができませんでした。
そこで当時開発されたのが「変え管」で楽器の調を変えるという手法でした。
ホルンはこの「変え管」により、好きな調に変更できたので、実質的にすべての音を出すことができ、当時のオーケストラで引っ張りだことなったのです。
(守重 信朗 著 「写真でわかる!楽器の歴史 楽器学入門」116p参照)
楽譜に様々な調が現れるのはこの当時の名残で、「変え管」を使わなくなった今では、基本的にすべてinFで記譜されます。
しかし、当時の作曲家の意図を重要視するために、当時の記譜法のまま書かれていることもあるので、ホルン奏者に読み替えの能力は欠かせないのです。
Ⅴ.まとめ
指揮者は記譜音と実音を使い分けるために、
イタリア音名とドイツ音名を使い分けていました。
ドイツ音名を覚えるのは比較的簡単ですが、
自分の楽器の実音をすぐに出せるようになるには少し努力が必要です。
しかし、努力する価値は大いにあると思います。
実音をマスターできれば、指揮者の要求にすぐに答えられたり、合奏でどんな指示をしているのかわかったりします。
そうすると、合奏がただただ演奏するので精一杯だった場から、より良い音楽を作る場へと変化していきます。
そうしてできた良い音楽をお客さんに聞いてもらったとき、
きっとこれまでにないほどの達成感と満足感を感じられると思います。
そうなるとどんどん音楽は楽しくなるし、どんどん音楽が好きになることでしょう。
ぜひ頑張ってみてください。(^^)/
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。
他にも合奏に役立つ情報や、しっかりした音楽知識の発信を行っていますので、
ぜひお読みください。
よき音楽ライフを!(^^♪
第2回の記事を書きました。
次回は「チューニング」についてです(^^)/