これだけは知っておきたい合奏用語かんたん解説!! 第4回 アウフタクト(弱起)
指揮者「じゃあBのアウフタクトから全員で」
奏者(アウフタクトって何??)
皆さんこんにちは!
このブログの筆者のドミトリーです!(^^)/
このシリーズは合奏用語解説と銘打ちまして、吹奏楽の合奏でよく使われる言葉について解説をしています。
初めて合奏に加わる人にもわかるよう簡単に解説しますので、この記事を読んで指揮者の言っていることをどんどん理解していきましょう!(^^♪
前回の第3回では、「スケール」について解説しました。
ドュアーとモールって何が違うの?(´;ω;`)
という方向けに、長調と短調の違いとその成り立ちについて解説しています。
合わせて効果的な練習方法も紹介していますので、ぜひご一読ください。(^^♪
さて、第4回は「アウフタクト(弱起)」について解説します。
合奏では指揮者がよく「Dのアウフタクトから吹いて」というような形で聞くことが多いと思います。
合奏ではアウフタクトから演奏することが非常に多いので、合奏に加わる際に「アウフタクト」意味についてしっかり理解しておきましょう!(^^)/
そこで今回は
・ 「アウフタクト」って何?
・「アウフタクト」がある場合の小節番号の注意
について解説していきます。
この記事を読めば、アウフタクトは完璧!
指揮者にアウフタクトからやってと言われてもすぐに吹けるようになります。
ーーー簡単な自己紹介ーーー
私は現在とある一般サークルのバンドで指揮者をしています。
しかしこれまで音楽の勉強を真面目にやったことがない「愚か者」でした。
ドラッカーの本を読んで、これを猛省し、現在は音楽の勉強をするようになりました。
ここでは音楽初心者から経験者まで、ご自身の音楽活動に役立つように、私が勉強したことをわかりやすく発信していきます!
Ⅰ.「アウフタクト」って何?
「アウフタクト」とは「小節の途中からフレーズが始まること、もしくはその部分」を指すドイツ語の言葉です。
日本語では「弱起(じゃっき)」と言います。
言葉だけではわかりにくいので、ここでは個人的に最も有名だと思うアウフタクトの曲である、『ハッピバースデートゥーユー』を使って解説します。
この曲は4つのフレーズから構成されていますが、各フレーズの出だしは小節の1拍目ではなく、3拍目から始まっています。
このように、1拍目以外からフレーズが始まることを「アウフタクト」と言います。
また、はみ出ている部分(下図の赤い部分)も同様に「アウフタクト」と呼びます。
これだけです。
「アウフタクト」は一度理解してしまえばすぐに使いこなせるワードだと思います。(#^^#)
次に、よりアウフタクトについて理解しやすいよう、実例を解説も交えていくつか紹介したいと思います。(^^)/
1. 2拍目から始まる曲
グルッグ:「アウリスのイフィゲニア」序曲
OVERTURE TO IPHIGENIE EN AULIDE by Gluck {Audio + Full score}
グルッグ(1714ー1787)はドイツに生たオペラ作曲家で、オペラ『オルフェオとエウリディーチェ』を作曲した人として有名です。
当時は古典派音楽の時代でバッハとかモーツァルトが活躍していたころで、対位法による音楽と旋律主義の音楽が主流でした。
この曲からも対位法と旋律主義の流れが強く感じられますね。(#^^#)
ちなみに、グルッグのオペラ『オルフェオとエウリディーチェ』は後に、オッフェンバックによって『天国と地獄』でよく知られるオペレッタ『地獄のオルフェ』のパロディ元にもなっています。
詳しくは過去記事で紹介しています。
ロマン派 オッフェンバックの項を読んでみてください。(^^♪
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シャブリエ:『気まぐれなブーケ』
時代はロマン派の後期です。
ロシアやチェコで民謡を使った国民楽派の流れが活発だった時代から、徐々にフランスの印象派音楽が台頭してきて、近代音楽へと移行してる時期です。
この『気まぐれなブーケ』は形にとらわれないユーモアある旋律で、ドビュッシーやラベルのような印象派音楽の雰囲気を感じられますね。
2. 3拍目から始まる曲
ビゼー:『アルルの女』組曲第二番より「ファランドール」
[Václav Smetáček] Bizet: L'Arlésienne Suite No.2 - Farandole
ビゼー(1838~1875)はフランス生まれの音楽家で、「カルメン」の作曲者として有名です。
当時はロマン派時代の真っ只中で、歌劇や歌曲が非常に栄えていました。
歌曲が栄える中で、民謡を取り込む動きが徐々に起きて、のちのロシアやチェコで国民楽派の音楽として大きなムーブメントとなります。
ビゼーはこの民謡をいち早く歌劇に取り入れた一人です。
この曲はフランス民謡『三人の王様の行進』の旋律がそのまま使われています。
詳しくは過去記事 ビゼーの項をご一読ください。(^^)/
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ブラームス:交響曲第三番 第3楽章
Johannes Brahms - Symphony no.3, op.90 (complete)
第3楽章は19:20~です。
ブラームス(1833-1897)はドイツに生まれ、バッハ、ベートーベンと合わせてドイツ音楽の3大Bと呼ばれている作曲家です。
時代はちょうど先ほど紹介したビゼーと同じような時期でロマン派時代です。
ブラームスはバッハのような古典派の音楽も書いていますが、この曲は非常に多彩な表現があふれており、歌劇的な雰囲気も感じられるロマン派チックな曲になっています。
3. 4拍目から始まる曲
ビゼー:歌劇『カルメン』より「闘牛の歌」
Votre toast, Je peux vous le rendre (Carmen - G. Bizet) Score Animation
ビゼーからもう一曲。誰もが聞いたことがあるであろう歌劇『カルメン』より「闘牛の歌」です。
この曲も楽譜を見てもらえばわかるように、アウフタクトが使われているのですね。(^^)/
ショスタコーヴィッチ:オラトリオ『森の歌』より第一曲「戦いが終わったとき」
ショスタコーヴィチ :オラトリオ 「森の歌」ユルロフ Shostakovich : Song of the Forests
ショスタコーヴィッチ(1906~1975)はロシア生まれの作曲家です。
ショスタコーヴィッチが活躍した時代は近代音楽の時代で、ドビュッシーやラベルなどの印象派音楽のさらに後です。
しかし、ロシアでは1850年ごろに起こった民謡を使って音楽を作るという国民楽派の動きが今なお色濃く残っていて、この曲はロシア民謡風の曲調になっています。
これまた過去記事で詳しく解説していますので、下の記事のショスタコーヴィッチの項をご覧ください(^^♪
Ⅱ.「アウフタクト」がある場合の小節番号の注意
指揮者はよく小節番号を使って指示を出しますが、アウフタクトのある曲では少し注意が必要です。
小節番号は最初の完全小節を1小節目と数えます。
完全小節とは、既定の拍数が揃っている小節のことで、4分の3拍子なら3拍揃っている小節のことです。
反対に既定の拍数に満たない小節を不完全小節といいます。
ハッピバースデートューユーのように、不完全小節から始まる曲については、アウフタクトの次の小節から番号を数えていきます。
しかし、中には最初に休符を付けて完全小節としているアウフタクトもあります。
この場合は、アウフタクトの小節が1小節目となります。
このように、アウフタクトの小節の数え方は少しややこしいので注意しましょう。
最初が完全小節か不完全小節なのかを確認することが重要です。
Ⅲ.まとめ
ここまでお読みいただき誠にありがとうございます。(#^^#)
楽器を吹いていれば必ずと言っていいほどアウフタクトは目にすると思います。
アウフタクト普段聞きなれない言葉ですが、その意味についてご理解いただけたかと思います。
さて、次回は合奏で頻繁に飛び交うであろうワード、「アーティキュレーション」について解説します。
図形でわかりやすく解説しいますので、ぜひお読みください。
Ⅳ.参考図書
今回の記事でアーティキュレーションの例として挙げたものは以下の本から抜粋いたしました。
少し古い本ですが、指揮法について、たいへん実直に考察された本です。
現在指揮棒を振っている人には非常に参考になると思いますので、よかったらぜひご一読ください。(#^^#)