サックス吹きのフレックス退社

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ようこそ!吹奏楽の世界へ 第1回:「サックス経験者が実感するサックスの魅力」編

顧問の先生「今日からお前はサックスな」

ホルン希望の新入部員「はい。。。(なんで私がサックスに、、、)」

 

皆さんこんにちは!

このブログの筆者のドミトリーです!(^^)/

 

希望の楽器に配属されないこともある吹奏楽部の世界。

私もチューバ希望だったのに先生の一声でサックス吹きになりました。

最初は嫌でしたが、途中でサックスの魅力に気が付き、もう10年以上も吹いています。

 

ということで、ようこそ!吹奏楽の世界へと題して、幸か不幸か皆さんの担当になった楽器の魅力について、発信していきたいと思います。

 

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記念すべき第一回はサックスの世界。

 

私がサックス奏者なので、まずは一番分かっているサックスから書き始めようと思います。

これを読めば、サックス希望でなかった人もきっとサックスが好きなるはず!

では早速、魅力あふれるサックスの世界に行ってみましょう!

 

ーーー簡単な自己紹介ーーー

私は現在とある一般サークルのバンドで指揮者をしています。

しかしこれまで音楽の勉強を真面目にやったことがない「愚か者」でした。

ドラッカーの本を読んで、これを猛省し、現在は音楽の勉強をするようになりました。

ここでは音楽初心者から経験者まで、ご自身の音楽活動に役立つように、私が勉強したことをわかりやすく発信していきます!

dormitory0108.hatenablog.com

 

 

Ⅰ.色々なサックスの音色

サックスは管楽器の中で最も多彩な音色を出すことができる楽器です。

いろいろなジャンルの音楽で使われており、それぞれで個性豊かな音を出しています。

 

ここでは各ジャンルから、様々なサックスをご紹介。

お気に入りのサックスの音色をぜひ探してみてください。

 

1.ジャズのサックス

サックスと聞いて最初に思い浮かぶのはジャズでしょう。
初めて楽器を触る吹奏楽部員ですら、ジャズという言葉は聞いたことがあると思います。

ということで、ジャズからはこの曲。
チャーリー・パーカー『Confirmation』


Charlie Parker- Confirmation

うーーーん、たまりませんね。さすが、モダンジャズの神様チャーリー・パーカー
これは約60年前の録音ですが、今でも十分魅力的です。

サックスを自由自在に操ってムードたっぷりに吹く。
これがジャズサックスの魅力だと思います。

 

2.クラシックのサックス

吹奏楽部のサックスはこの領域。
個人的に最もサックスがカッコいい曲を紹介します。

C.T.スミス作曲『アルト・サクソフォンのためのファンタジア』 
サックスソロ:オーティス・マーフィ


Claude T. Smith Fantasia

いや~~~~、これもたまりませんね。
オーティス・マーフィーのフラジオ(高音)はいつ聞いてもしびれます。

クラシックのサックスの音はこのようにとても澄んでいて華やかなことが特徴です。
ジャズと比べて音の発音もはっきりしていて、とてもかしこまったイメージの音色ですね。

3.アンサンブルでのサックス

サックスはアンサンブルも超得意。
ソプラノサックス、アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックスの4重奏は今でもとても盛んに演奏されています。

アンサンブルの世界からはこの曲
リュエフ作曲『サクソフォーン四重奏のためのコンセール』


J.リュエフ:サクソフォーン四重奏のためのコンセール(演奏会用四重奏曲) 1~3楽章


J.リュエフ:サクソフォーン四重奏のためのコンセール(演奏会用四重奏曲) 4~6楽章

あぁ~~~~たまりませんね。
1楽章の頭のバリトンサックスの低音がたまらなくかっこいいです!

 

サックス4本がそれぞれ鳴らす豊かな音が混ざり合い、充実した音を生み出すこの感じ、これがまさにサックスアンサンブルの魅力ですね。

 

4.その他のサックス

サックスは本当にいろいろなジャンルで使用されています。
ここでは少しマイナーだけど魅力的なサックスの世界をご紹介しましょう。

(1)オーケストラのサックス

オーケストラでもサックスは活躍しています。しかし残念なことに、オーケストラでサックスが使用される曲は少なめです。

そんなオーケストラのサックスからはこの曲。
ビゼー作曲『アルルの女』第2組曲より 2楽章「間奏曲」


「アルルの女」第2組曲 2間奏曲

サックスの登場は1:07~から。

癒されますねぇ~~(*'▽')

サックスは音量が大きいため、オーケストラの中ではとても目立ってしまいます。
オーケストラのサックスは少し控えめに演奏されることが多いですが、控えめながらも華やかなサックスの音色がオーケストラのサウンドに良いアクセントを加えています。

(2)独奏のサックス

独奏とは、バッハの無伴奏チェロ組曲のように伴奏なしのソロ曲のことを指します。
独奏のサックスの世界はかなり独特な進化を遂げています。

独奏からはこの曲。
Barry COCKCROFT作曲『ROCK ME!』


Rock Me! – Barry Cockcroft {Kenneth Tse, Sax}

サックスの独奏曲は特殊奏法が満載で、サックスという楽器の可能性を感じさせてくれます。
今回引用している動画では、周りの奏者の人が「どうやってそんな音出しているの??」という怪訝そうな顔をしているのが見所です(笑)

このようにサックスは、ほかの楽器奏者からは想像もつかないような音も出すことができるのです。

(3)ビックバンドのサックス

ジャズの大編成といえばビックバンド。ここでもサックスは大活躍しています。

ビックバンドの世界からはこの曲
グレン・ミラー作曲「In The Mood」


Glenn Miller - In The Mood [HQ]

カッコいい金管サウンドサックスのアンサンブルでハーモニーを添えるのが特徴的です。

大きな金管の音にも負けないサックスのサウンドがしびれますね。

(4)フュージョンのサックス

フュージョンとはいろいろなものを「融合」して新しいサウンドを生み出していこう!というジャンルです。

エレクトーンやエレキベースなど電子楽器と組み合わせたり、心地いサウンドを生み出すためなら形式にはとらわれません。

もともとはジャズからの派生ということもあってか、メロディにサックスを用いることが多いです。

そんなフュージョンからはこの曲。
本田雅人作曲『放課後は日曜日』

演奏:T-square


Masato Honda - 放課後は日曜日 (What is Fusion 2000Live)

フュージョンのサックスは非常に派手で、電子楽器の中でも埋もれないようにとがった音をしています。

でもそれがカッコいい!

 

え?ショッピングモールで流れてそうだって?

 

そう、このフュージョンというジャンル、昨今で一番耳にするのはスーパーの食料品売り場です。

個人的にはバブル後の平成初期のイメージがあって、エモいので好きです。

Ⅱ.サックスの得意なところ

せっかくサックスを持ったのならば、ぜひともサックスの長所を活かした演奏をしたいものです。

ここではサックスの得意なポイントをいくつか紹介しますので、サックスの得意技でお客さんを魅了しましょう!

1.音がでかい!!!

サックスの得意技は何といっても音量がでかいこと!!!

分類上は木管楽器ですが、木管楽器でもぴかいちの音量のでかさです。

サックスはどんな編成でもソロで活躍できるため、目立ちたがり屋の人にはたまらない楽器と言えるでしょう。

2.指使いが簡単!

サックスは非常に新しい楽器なので、指使いがとても簡単に設計されています。

基本的には小学校で習ったソプラノリコーダーと同じ指使いで演奏できちゃうのです!

指使いが簡単だからこそ、ほかの楽器では難しい速いフレーズも難なくこなすことができます。

素早い音さばきで聞き手を圧倒しましょう!

3.音色の変化が豊富!!!

弦楽器にも劣らないほど、サックスは様々な音色を出すことができます。

ここまでの動画を見ていただければよく分かりますね。

 

サックスを吹いているのに「私はクラシック専門だからこの音でいいや」と一つの音色にこだわるのはもったいないです。

クラシック吹きだとしても、「ここで少しジャズっぽくしたら面白いかもな」などと冒険してみてください。

きっと、ほかの楽器では発見できないような面白い化学反応が見つかるはずです。

 

ここまで様々なジャンルに自分を連れて行ってくれる楽器は他にはないでしょう。

Ⅲ.サックスの歴史

せっかくなので、ここで簡単にサックスの歴史を紹介します。

自分の相棒であるサックスの自己紹介だと思って、少しお勉強しましょう。

 

サックスの生まれは1841年、ベルギーの博覧会でアドルフ・サックスという人が発表し、金管楽器木管楽器の音色の調和を目指して作られました。

発明時から金属のボディに木管のリードを備えた形となっており、形は現在もほとんど変化していません。

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アドルフ・サックスの肖像画

はじめはフランスの作曲家がこぞって楽曲に使用しましたが、当時音楽界で最も権力があったドイツの音楽家からは好まれず、次第にサックスの人気は低迷していきました。

<当時の曲をご紹介>

サンジュレ作曲 『サクソフォン四重奏曲第1番』


サクソフォン四重奏曲第一番/J.B.サンジュレー【サックス四重奏】 Premier Quator op.53/J.B.Singelee【Saxophone Quartet】

この曲は1857年に作曲された最も古いサクソフォン四重奏曲です。

ドイツ人には好まれなったようで、人気は低迷していきます。

 

しかし、1920年代にアメリカのシカゴでサックスがジャズのスター楽器として取り上げられると、その表現力の豊かさから瞬く間に普及していきました。

その後はグラズノフイベールなど著名な作曲家たちにも主にソロ楽器として取り入れられ、今ではなくてはならない楽器にまで人気が出ています。

 

サックスのルーツはフランス音楽であり、
その後人気に火をつけたのはジャズへの大抜てきだったのですね。

Ⅳ.吹奏楽でのサックスの役割

吹奏楽でのサックスの役割について、ここでは紹介していきます。

サックスの立ち回りを理解して、よりよい吹奏楽を楽しんでください。

1.シンフォニー編

コンクールや、吹奏楽オリジナルの曲、クラシックのアレンジものを演奏するときのサックスの役割についてみていきましょう!

(1)クラリネットを超えるな!

メロディーラインの主役はクラリネットであることがほとんどです。

しかし、クラリネットだけでは音がぼやけてメロディーが埋もれるので、補強としてサックスも合わせて使われることが多いです。

 

間違ってもサックスはクラリネットを押しのけてはいけません!!!

 

例としてヤン・ヴァン・デル・ロースト作曲のマーチ『アルセナール』を聞いてみましょう。


コンサートマーチ アルセナール

0:12~からの部分がまさに、サックスがクラリネットを支えているところです。

クラリネットの温かい音にサックスの華やかさが加わることで、トロンボーンの伴奏に負けない際立った音になっています。

 

1:52~からの部分はクラリネットだけのメロディです。サックスがいないので少しぼやけていますね。

※厳密にいえばホルン、オーボエコールアングレファゴットもいるけど、やっぱりサックスがいないのでクラリネットが埋もれ気味。

(2)ハーモニーで右に出る木管楽器はない

木管楽器の中でサックス程ハーモニーがきれいな楽器はありません。

サックスの音色はとても混ざりやすいので、ハーモニーが作りやすいです。

ハモリがあるときは積極的に音を混ぜて、厚みのある音で勝負しましょう。

 

(3)金管楽器木管楽器の架け橋になれ!

吹奏楽では金管楽器木管楽器同時に演奏することが多いです。

このとき、サックスは金管楽器木管楽器橋渡し的存在になりましょう。

 

第一に金管楽器と音量で勝負してはいけません。勝ち目ないです。

第二に音をはっきり目に吹いて、少しクラリネットよりも前に出ましょう。
A.の説明と逆のように思えますが、

クラリネット金管楽器が同時に吹いている場合追い抜いて大丈夫ということです。

 

もともとサックスは金管楽器木管楽器の音の調和のために作られています。
その真価を発揮してやりましょう。

 

(4)ソロではご自慢の華やかさを披露しよう!

シンフォニーのソロでは、裏で様々な楽器がにぎやかしてくることが多いです。

この時サックスの華やかな音色はとても目立って聞こえるので、埋もれずにソロを吹き続けることができます。

参考にバーンズ作曲の『公共的序曲』をお聞きください。


Symphonic Overture. Tokyo Kosei Wind Orchestra.

3:41~からのサックスソロは普通に吹いた感じ。

4:17~からは音量の少し上げて、より華やかに音色を変化させています。
ほかの楽器の音から頭一つ抜けて聴衆に聞き取りやすくなっていますね。

 

シンフォニーのサックスソロではサックス本来の華やかな音が求められます。

金管木管の橋渡しを一時お休みして、サックスの豊かな表現力を見せつけましょう!

2.ポップス編

定期演奏会や依頼演奏ではポップスの曲を演奏する機会も多いと思います。

ポップスではシンフォニー以上にサックスが大活躍です!

(1)メロディではしっかり目立とう

サックスの最大の長所は音量のでかさ!!

ポップスのメロディーではクラリネットを多少飲み込んでもOKです!!

思いっきり目立ちまくりましょう!(笑)

(2)サックスアンサンブルではチームワークを見せつけろ!

ポップスのサックスアンサンブルはサックスパートの絆の見せ所。

バランスの取れたきれいなハーモニーと、息の合ったサウンドで聞き手を魅了してやりましょう!

サックスアンサンブルがあるポップスと言えばこの曲。

星出尚志編曲『塔の上のラプンツェルメドレー』


塔の上のラプンツェル・メドレー 吹奏楽ver

1:00~からがサックスアンサンブルです。

サックスのアンサンブルはクラシックでもポップスでもどちらもいいですね。

(3)甘くてエロいソロをお見舞いしてやろう

 ソロでは持ち前の表現力の豊かさで、様々な音色を使い分けるように心がけましょう。
クラシックよりも音色の幅は格段に広く使えます。

たまにはジャズのサブトーンや、独奏曲で使っているような特殊奏法も取り入れてもよいでしょう。

サックスソロからはこの2曲。

1っ曲目は岩井直溥編曲『松田聖子ヒット・メドレー』


【吹奏楽】松田聖子ヒット・メドレー

1:53~からの『赤いスイートピー』はたまりません。

こんな音クラシックで出したら破門ですが、ポップスではこのような音も大変いいアクセントになります。

 

2曲目は和泉宏隆 作曲、真島俊夫 編曲『宝島』


オールスター吹奏楽団 -宝島(Takarajima)

サックスソロは1:00~と、2:06~の2回。

吹奏楽のサックスソロと言えばこの曲。

1回目と2回目で音色が大きく違うのがわかりますね。

 

ポップスのサックスソロは可能性が無限大です。

ぜひあなただけのサックスソロを目指して、いろいろな音色を試してみてください。

 

Ⅴ.まとめ

サックスは非常に音色が豊富であり、どこでも活躍できる素晴らしい楽器です。

音が大きいためシンフォニーでは少し控えめに吹くこともありますが、ポップスでは大活躍。

ソロでは多彩な音色をフルに活用して聞き手を魅了しましょう!(^^)/

 

ここまでお読みいただきありがとうございます。

この記事は私の10年以上あるサックス人生を注ぎこんで作成しました。

これからサックスを始める人、サックスをすでに始めている人にも新しい発見があるよう色々詰め込んでみましたがお楽しみいただけたでしょうか?

 

最近になって音楽の勉強をするようになりましたが、音楽はやはり奥が深く、また非常に柔軟で多様だなと感じます。

現在扱っている音楽のジャンルにとらわれず、ご自身らしい音楽ができるジャンルを発見できるきっかけとなれば幸いです。

 

それでは次回の記事でまたお会いしましょう!

次回はあなたの楽器を紹介するかもしれませんよ!!

 

 

動画のリンク切れや、リクエスト、感想をぜひコメント欄にお寄せください。

筆者のモチベーションがめちゃ上がります。

 

<過去記事紹介>

 初めての合奏は知らない言葉だらけ!

『ベー』って何?というところから、『シンコペーション』まで、合奏でよく飛び交う音楽用語について詳しく解説しています。

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音楽の歴史を知れば、クラシックが超面白くなる!

↓の記事ではクラシック音楽では欠かせない音楽史について超簡単にまとめています。

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