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これだけは知っておきたい合奏用語かんたん解説!! 第6回 シンコペーション
指揮者「そこはシンコペーションだからもっとはっきり演奏して」
奏者(”シンコペーション„ってなんだ??)
皆さんこんにちは!
このブログの筆者のドミトリーです!(^^)/
このシリーズは合奏用語解説と銘打ちまして、吹奏楽の合奏でよく使われる言葉について解説をしています。
初めて合奏に加わる人にもわかるよう簡単に解説しますので、この記事を読んで指揮者の言っていることをどんどん理解していきましょう!(^^♪
前回の第5回では、「アーティキュレーション」について解説しました。
指揮者に「アーティキュレーションを合わせて」って言われたけど、何のこと?(´;ω;`)
という方向けに、たくさんの実例を使って説明しています。
ぜひご一読ください。(^^♪
さて、第6回にして最終回の今回は「シンコペーション」について解説します。
シンコペーションは特にポップスの曲を合奏しているとよく出てくるワードですね。
予想を裏切ることで聞き手を引き付けるシンコペーションは非常に重要な要素です。
ぜひシンコペーションを理解して、指揮者の意図をくみ取れるようになりましょう。
そこで今回は
・強拍と弱拍について(拍子)
・シンコペーションとは
・シンコペーションの実例
・シンコペーションの演奏上の注意点
について解説していきます。
この記事を読めば、あなたはもうシンコペーションマスター!
シンコペーションをうまく使って、より動きのある音楽を楽しんでください(^^♪
ーーー簡単な自己紹介ーーー
私は現在とある一般サークルのバンドで指揮者をしています。
しかしこれまで音楽の勉強を真面目にやったことがない「愚か者」でした。
ドラッカーの本を読んで、これを猛省し、現在は音楽の勉強をするようになりました。
ここでは音楽初心者から経験者まで、ご自身の音楽活動に役立つように、私が勉強したことをわかりやすく発信していきます!
Ⅰ.強拍と弱拍について(拍子)
では早速シンコペーションの説明をいたしましょう!!
と行きたいところですが、シンコペーションの説明の前に、まずは強拍と弱拍について解説します。
速くシンコペーションについて知りたいよう(/ω\)
という方は飛ばしていただいても大丈夫ですが、シンコペーションを理解するためにはとても重要な要素になりますので、この機会にぜひ覚えてしまいましょう!
1.拍子の表し方
楽譜の中で最初に書いている5/4と6/4というこの数字。
これは拍子記号といって、一小節の中にどの音符が何個の音符が入るかを示しています。
分母が音符の種類(8なら8分音符、4なら4分音符など)を、
分子は音符の数(4なら4つ、6なら6つ)を示しています。
4拍子とか3拍子とかはこの記号によって決まるのですね。
強拍と弱拍にめちゃくちゃ関係していますので、しっかり覚えましょう。
2.音楽にとって重要な拍子感
音楽にとって拍子は非常に重要な要素です。
拍子があると、曲にまとまりを感じることができ、音楽の次の展開を少しだけ予想できるようになるのです。
では、ビゼーの歌劇『カルメン』から「闘牛士の歌」を例に実際に聞いてみましょう。
拍子がない場合
4/4拍子の場合(原曲)
いかがですか?
拍子がない場合は、すべての拍が同じ大きさで、まとまりがありません。
そのため、次のまとまりがいつ来るのか全く予想ができず、聞き手に緊張がずっと続いてしまいます。
一方で、4拍子では4拍毎に強い音や弱い音が規則的に演奏されており、4拍毎で一区切りがつきます。
これにより、次のまとまりを容易に予想できるため、聞き手に程よい緊張と緩和が繰り返されて心地の良い音楽となります。
このように、次のまとまりを予想できるという点が音楽にとって非常に重要で、このまとまりの感じをここでは「拍子感」と呼びたいと思います。
拍子感があると、聴衆は予想通りの音が来るのか、それとも予想を裏切った音が来るのかと考えるため、音楽はより楽しいものとなります。
この面白さを例えるならドラマと同じことです。
恋愛系のドラマでは視聴者は「あぁきっとこの二人がくっつくのだろうな」という思わせぶりな要素が必ず盛り込まれます。
その予想が裏切られるのか、もしくは予想通りいくのか、ことの顛末を見届けることドラマの楽しみがあると思います。
音楽ではこれと同じことが各小節毎に繰り返されるのです!!
めちゃくちゃ楽しい!!(*'▽')
3.拍子感を出すための強拍と弱拍
さて、音楽にとって拍子感が非常に重要ということは、分かっていただけたかと思います。
では、演奏で拍子感を出すにはどうしたらよいのでしょうか?
実は、拍子感を出すのはとても簡単。
1小節の中で強く演奏する拍と弱く演奏する拍を設けるだけです。
うん、とっても簡単!(#^^#)
この時、強く演奏する拍を強拍、弱く演奏する拍を弱拍と呼びます。
そして、各拍子によって強拍と弱拍のタイミングは決まっています。
いくつか例を挙げますので、実際に聞いてみましょう。
※音の強さは、強拍>中強拍>弱拍です。
2拍子
3拍子
4拍子
強弱をつけることで拍子感が生まれることを実感いただけましたでしょうか?
シンコペーションではこの強拍と弱拍が非常に重要になりますので、ぜひこの機会に覚えてしまいましょう。
Ⅱ.シンコペーションとは
さて、いよいよシンコペーションについての説明です。
まずはシンコペーションを聞いてみましょう。
楽譜で赤く示した部分がシンコペーションです。
先ほどと比較して強拍のタイミングがずれていることにお気付きでしょうか?
具体的には本来弱拍であるはずの4拍目の裏がシンコペーションにより強拍になっています。
そう!シンコペーションとはズバリ、
「強拍のタイミングをずらす」
ことなのです。
ちょっと待ってくれ
ついさっき「強拍と弱拍のタイミングは拍子で決まる」と説明したばかりじゃないかとツッコミが入ってしまいそうですが、
シンコペーションの神髄はこの「ツッコミ」にあります。
先ほども少し触れましたが、拍子感があると、聴衆は強拍のタイミングを予想しながら音楽を聴きます。
この予想を裏切るというのがシンコペーションというわけです。
基本通りに来るだろうと高を括ってる聴衆に、強拍のタイミングをわざと外すことで「予想外」の驚きを与えましょう!
これがシンコペーションの肝です。
シンコペーションの発生条件
続いてはシンコペーションの発生条件について説明します。
シンコペーションは「弱拍音が同じ音程の強拍音にタイで結び伸ばされているとき」に発生します。
弱拍と強拍がタイで繋がると、弱拍音だった音に強拍のアクセントが転移して、強拍のタイミングがずれます。
シンコペーションなし
シンコペーションあり
また、シンコペーションは8分音符でも発生します。
8分音符で出てくる「裏拍」はいつも最弱です。
なので、裏拍とタイで音がつながった場合はいつもシンコペーションになります。
※音の強さは、強拍>中強拍>弱拍>弱弱拍です。
シンコペーションなし
シンコペーションあり
強拍と弱拍がタイで接続されたときにはシンコペーション
とても重要なので覚えておきましょう!
Ⅲ.シンコペーションの実例
さて、シンコペーションは通常の拍子感から逸脱するため、聞き手にとって非常に強いアクセントになり、実に多くの曲で活用されています。
ここではいくつかのシンコペーションの実例を紹介しますので、強拍がずれる「予想外」を楽しんでください。
シベリウス 交響詩『フィンランディア』
Sibelius: Finlandia, op. 26 — Karajan
楽譜の部分は動画の5:33~
この『フィンランディア』では多くのシンコペーションが使用されていますが、特に上記の部分では1小節の中で何度もシンコペーションが現れます。
『フィンランディア』はフィンランド人の愛国心をとても刺激するもので、当時ロシアからの独立運動が盛んだったフィンランド人から大人気でした。
あまりにフィンランド人の愛国心を刺激するため、ロシア政府により演奏を禁止されてしまうほどです。
上記の部分では、フィンランド人の湧き出る愛国心が常軌を逸した強さであることを、通常の拍子感から逸脱するシンコペーションを多量に使うことで、うまく表現されていると感じます。
このように、心情が最も達したときにシンコペーションが使用されることがあります。シンコペーションのエモさ、伝わりましたかね。(^^♪
ストラヴィンスキー 舞踏音楽『火の鳥』より「カスチェイ王の魔の踊り」
楽譜の部分は動画の0:30~
この曲はまさに、シンコペーションの嵐と言えるほどにシンコペーションが多用されています。
シンコペーションのもつリズム的な違和感が、異形のものである魔王カスチェイ王の下部達の不気味さを際立たせていますね。Σ(・□・;)
米津玄師 『Leomn』
楽譜の部分は0:00~
たまには最近の曲も例に使ってみようと思います。
『Lemon』の冒頭ではシンコペーションがふんだんに使われています。
普段とは異なるリズム感と「夢ならば どれほどよかったでしょう」という歌詞と相まって、焦燥感と「夢」の非現実感が非常に際立っていますね。
この曲は2018年の紅白でバックダンサーが不気味だと話題になりましたが、あのダンサーの人はシンコペーションによるリズムの違和感をあのような形に表現したのかもしれません。(いや、違うか)
Ⅳ.演奏上の注意点
シンコペーションの演奏にはコツが必要です。
特に以下の点によく注意して、効果的なシンコペーションを演出しましょう。
- テンポやリズムを崩さない
- 聴衆をしっかりと騙す
- シンコペーションの意図を考える
一つずつ解説していきましょう。(^^)/
1.テンポやリズムを崩さない
シンコペーションの演奏で、最も陥りやすい失敗がこれです。
聴衆を騙そうとして、奏者の拍子感も一緒にずれちゃうという、まさにミイラ取りがミイラになっている状況です。
シンコペーションの演奏では、隠された強拍をしっかりとカウントすることが重要です。
隠された強拍をカウントすることで、シンコペーションの後、元の拍子感に確実に戻ることができます。
といっても最初はなかなか難しいので、おすすめの練習方法を紹介します。
- 一度タイを消したり、音を分割したりして、シンコペーションを消す。
- この状態で繰り返し練習をして、隠された強拍のタイミングを体に染み込ませる。
- 隠された強拍のタイミングが染みついたら、楽譜通りに音を連結して、シンコペーションで強拍をずらす。この時、シンコペーションで隠された強拍を心の中で演奏する。難しい場合はもう一度2.に戻りましょう。
何度も書いていますが、シンコペーションは安定した拍子感の中でそれを裏切るという小技です。
なので、シンコペーションの前後ではしっかりと元の拍子感を維持できるように練習しましょう。
2.聴衆をしっかりと騙す
次によくある失態はシンコペーションをしたツモリです。
これは4拍子の曲のときによく起こります。
3拍目の強さと、シンコペーションした4拍目の強さに変化が少なく、聞き手にその意図が伝わっていないという事態です。
これは、先ほどの場合とは逆で、隠された強拍をカウントしすぎていることが問題です。
シンコペーションは本来のリズム感から一時的に離脱することが重要です。
4拍目であろうと、シンコペーションでは1拍目と同じ強さです。
清水の舞台から飛び降りる気持ちで、思い切って突っ込んでみましょう。
3.シンコペーションの意図を考える
さて最後に紹介するのは、シンコペーションの表現が一辺倒で場面に沿っていないという失態です。
シンコペーションに少し慣れてきた人が陥りやすい罠ですね。
本来、シンコペーションはなくても音楽は成立します。
シンコペーションが指示されている場面では、作曲者が意図的に聴取を裏切りたい場面ということです。
背景にどのような意図があるのか一度考えて、自分なりの解釈をもって演奏しましょう。
といってもこの辺りは経験がものをいうようになってきますので、わからない場合は指揮者に聞くか、パートで話し合ったりするとよいと思います。
Ⅴ.まとめ
さて、今回はシンコペーションについて詳しく紹介していきました。
シンコペーションは強拍と弱拍がタイで繋がったときに発生します。
シンコペーションでは強拍のタイミングがずれるため、聴衆の拍子感からは「予想外」の動きになります。
この「予想外」によって、聞き手にはとても良いアクセントになるので、シンコペーションは古くから非常に多く使われているという内容でした。
ぜひ、シンコペーションをものにして、聴衆を意のままに裏切ってください。
そうすることで、あなたの音楽ライフはより一層深みが増すことでしょう。
ここまでお読みいただき誠にありがとうございます。(#^^#)
さて、本シリーズでは合奏で頻繁に出てくるワードについて解説してきました。
もっと簡単にまとまると予想していたのですが、意外とまとめるのが難しく、我ながらびっくりしました。
これまでの記事を読んでいただければもう合奏は怖くありません。
というか、その辺のパートリーダーよりはよっぽど詳しくなったでしょう。(^^♪
ほかにも解説してほしいワードがあれば記事を作りますので、コメント欄までよろしくお願いいたします。(感想だけでもOKです。)
他記事では音楽の歴史についての記事もまとめています。
よかったらご一読ください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
それではまた、別の記事でお会いしましょう!
これだけは知っておきたい合奏用語かんたん解説!! 第5回 アーティキュレーション
指揮者「アーティキュレーションがちょっとバラバラだね。少し揃えて」
奏者(”アーティキュレーション„ってなんだ??)
皆さんこんにちは!
このブログの筆者のドミトリーです!(^^)/
このシリーズは合奏用語解説と銘打ちまして、吹奏楽の合奏でよく使われる言葉について解説をしています。
初めて合奏に加わる人にもわかるよう簡単に解説しますので、この記事を読んで指揮者の言っていることをどんどん理解していきましょう!(^^♪
前回の第4回では、「アウフタクト」について解説しました。
指揮者に「アウフタクトから吹いて」って言われたけど、どこから吹いたらいいかわかんないよ(´;ω;`)
という方向けに、たくさんの実例を使って説明しています。
ぜひご一読ください。(^^♪
さて、第5回の今回は「アーティキュレーション」について解説します。
演奏においてアーティキュレーションは非常に重要で、合奏は演奏者のアーティキュレーションをそろえる場と言っても過言ではありません。
それだけに、合奏ではアーティキュレーションに関係する言葉が多く使われます。
そこで今回は
・「アーティキュレーション」って何?
・音の形(アタック、コア、リリース)について
・「アーティキュレーション」の種類とそれぞれの演奏方法
・「アーティキュレーション」を演奏するときの注意点
について解説していきます。
この記事を読めば、アーティキュレーションは完璧!
アーティキュレーションの意味を理解して、表現力をアップさせましょう(^^♪
ーーー簡単な自己紹介ーーー
私は現在とある一般サークルのバンドで指揮者をしています。
しかしこれまで音楽の勉強を真面目にやったことがない「愚か者」でした。
ドラッカーの本を読んで、これを猛省し、現在は音楽の勉強をするようになりました。
ここでは音楽初心者から経験者まで、ご自身の音楽活動に役立つように、私が勉強したことをわかりやすく発信していきます!
- Ⅰ.「アーティキュレーション」ってなに?
- Ⅱ.音の形(アタック、コア、リリース)について
- Ⅲ.「アーティキュレーション」の種類とそれぞれの演奏方法
- Ⅳ. 「アーティキュレーション」を演奏するときの注意点
Ⅰ.「アーティキュレーション」ってなに?
「アーティキュレーション」とは、楽典の本では以下のように書かれています。
『楽譜を「芝居の台本」にたとえるならば、音符はセリフです。このセリフをどんなニュアンスで読んだらいいのかを指示するのが、記号や言葉(標語)達なのです。』
ここで言う記号や言葉達の中にアーティキュレーションは含まれています。
音符のニュアンスとはどういうことでしょうか?
アメリカの大衆民謡である「オーラ・リー」をもとに、アーティキュレーションを変えてみましょう。(音源は筆者の私が「EWI5000」という楽器で吹いたものです。)
アーティキュレーションがないときはこんな感じ。
例えばこれに「スラー」というアーティキュレーションを加えるとこんな感じになります。少し優雅な雰囲気がある気がしませんか?
「スタッカート」というアーティキュレーションの場合ではこのようになります。
こちらでは少し急いたような雰囲気を感じられますね。
アーティキュレーションが変わることで音の表情が変わることを感じていただけたでしょうか?
このように、アーティキュレーションによって曲の雰囲気はガラッと変わります。
では、実際にはどういう風に音に表情を付けているのでしょうか?
Ⅱ.音の形(アタック、コア、リリース)について
音の表情は、音の形(音形)を変えることでつけています。
音形の各部位のことを「アタック」、「コア」、「リリース」といいます。
人が目や口と言った部位を変化させて表情を表現するのと同じように、
音は「アタック」、「コア」、「リリース」を変化させて表情を表現します。
それぞれの意味は以下の通りです。
・アタック:音の始まりの部分(音の立ち上がりともいう)
・コア :音が継続している部分
・リリース:音が終息する部分
上の三つを図に示すと下図のようになります。
基本の音形では以下の4つが重要とされています。
①アタックがはっきりしている。
②アタック、コア、リリースを足したトータルの音の長さが音価と等しい。
③コアの長さは音価の4分の3程度(4分の3はあくまで目安)
④リリースの長さは音価の4分の1程度(4分の1はあくまで目安)
この中で、特に①と②は非常に重要です。
アーティキュレーションにかかわらず常に守るべきこととされているので、ぜひ覚えておきましょう。
基本的には上記の③と④に加え、時には音量を変化させることで音に表情を付けます。
Ⅲ.「アーティキュレーション」の種類とそれぞれの演奏方法
それでは、表情の付け方が分かったところで、
それぞれのアーティキュレーションがどういう意味で、
どのように演奏すればよいのかを解説していきます。
アーティキュレーションは先に説明したように、あくまでニュアンスを指示するものです。
そのため、必ずこう演奏しなければならないという決まりはありません。
よって、基本的には先ほど説明した「音形」を用いて解説しますが、解釈の幅をより分かりやすくするために、いくつか実例も交えて解説していきます。
なお、各項目の『』の部分は㈱トーオン編集部著 「ありそうでなかった形から引ける音楽記号辞典ジュニア」から引用しております。
(1)スラー
音楽記号辞典でスラーは
『ふたつ以上の高さのちがう音につけられており、その部分にある音と音の間をなめらかに演奏します』
と説明されています。
「なめらかに演奏する」とは、タンギングやブレスで音を区切らずに、
一息で吹いてしまうということです。
この時の音形は下図のようになります。
スラーの音形は、息を入れっぱなしなので、コアが大きく伸び、ついにはリリースを完全に飲み込んでしまいます。
その結果、音量はアタックからずっと保った状態になります。
通常スラーは複数の音にまたがりますので、その際の音形は下図のようになります。
音形のリリースに着目すると、通常ではすべての音にリリースがありますが、スラーで音がつながると、
リリースがなくなって音形はただの長方形になります。
しかし、最後の音はコアの伸長をしないので、リリースが現れます。
ちなみに、音の高さが同じ2つの音の場合は「タイ」と言って、「2つの音を1つの音として演奏する」という意味になります。
間違えないように気を付けて下さい。
ではスラーは実際にどのように使われているのでしょうか?
実例を見てみましょう。
ドボルザーク 交響曲第9番 「家路」
Dvořák - Symphony No.9 in E minor, Op.95; B 178, 'From the New World'
二楽章「家路」は10:07~です。
楽譜にした10:59~の大変有名な旋律では、スラーが使われています。
スラーが付くことによって、ゆったりとした音楽がより広がりをみせています。
遠いアメリカの地で故郷のチェコを想ったドボルザークの心情が、スラーによって引き立てられていますね。
このように、スラーを使うことで長いフレーズが大きな一つのまとまりとなって、優雅な雰囲気を引き出す場面は多いです。
チャイコフスキー 『くるみ割り人形』より「花のワルツ」
Waltz of the Flowers - Tchaikovsky
この曲も大変有名ですね。
楽譜の部分は1:36~で、スラーを1小節ごとに区切ることで、ワルツの独特のリズム感が強調されています。
優雅なワルツのイメージが湧きたちますね。
この曲はバレエ音楽として作曲されました。
お菓子の国の宮殿で、金平糖の王女の侍女たちが華麗な舞踏を披露するという場面の踊りに使われる曲です。
メルヘンチックな雰囲気を持ちつつも、華麗なバレエをしっかりと引き立てるとても素晴らしい曲です。
このように、短い間にスラーを複数入れることで、リズムが際立つこともあります。
同じスラーでも先ほどとは印象が異なりますね。
(2)スタッカート
音楽記号辞典でスタッカートは
『この記号がついた音符を、短く切って演奏することを表す。』
と説明されています。
上の音源を聞いていただくと、少し音が短くなっているのが感じられると思います。
では、スタッカートの音形を見ていきましょう。
スタッカートの音形で特徴的なのは、コアが短くなっている点です。
音が短くなったようなニュアンスは、コアを短くすることで表現することができます。
スタッカートのコアの長さはおおよそ音価の半分程度がよいとされています。
次に、リリースの長さに注目してください。
リリースは通常よりも長くなっています。
これは、「音のトータルの長さは音価と同じ」というルールによって、コアが短くなった分、リリースが長くなっています。
そして最後に、リリースの形に注目してください。
リリースの形は、最初で急激に音量を落とす形となっています。
こうすることで、音量にメリハリが生まれ、音がはっきりと際立ち、音が短くなった感じがより聴衆に伝わります。
スタッカートは「単純に音を短く演奏する」ととらえている奏者も多いと思います。
しかし実は、スタッカートがついても音の長さは同じで、音価に変化はないのです。
スタッカートがよく短めに解釈されるのは、スタッカートの説明として
「その音の半分の長さの音として演奏する」
という表現がされていることが原因だと思います。
今回参考にした音楽辞典にも明確にそう表記されていました。
しかし、これは非常に誤解を生む表現だと思います。
スタッカートがついた四分音符と、普通の八分音符の音形を見てみましょう。
このように、それぞれの音形は全く異なります。
特に音の長さの違いが顕著です。
当然八分音符として演奏した場合には音価は半分になってしまいます。
また、コアの長さも短くなるので、全体的に短すぎる印象になってしまいます。
上記のことを考慮すると、スタッカートの説明としては、
「コアの長さを音価の半分とする」
と表記するのがベターだと思います。
が、すでに広く使われている表現を変えることは難しいでしょうね。(´;ω;`)
この記事を読んでいただいた皆さんは、ぜひスタッカートの時は
「音価の半分まで音を保つ」
くらいの心意気で演奏してください!
では続いてスタッカートの実例を見ていきましょう。
ベートーベン 『交響曲第6番 田園』より 第1楽章
ベートーヴェン - 交響曲 第6番 ヘ長調 Op.68《田園》 カラヤン ベルリンフィル
楽譜は0:40~の部分
この曲ではスラーとスタッカートが組み合わさることで、生き生きとしたリズムを演出しています。
この曲には各楽章に副題がついており、第1楽章には
「田舎に到着したときの愉快な感情の目覚め」
という副題がついています。
スタッカートとスラーが組み合わせによって、愉快な感情を非常にうまく表現していますね。
ベートーベンの曲としては珍しく非常に優雅な曲で、非常に人気のある曲です。
ちなみにこの曲はベートーベンの有名な交響曲第5番『運命』と同時に初演されています。
『運命』の重苦しい雰囲気と対比すると、より『田園』の穏やかな雰囲気が引き立てられますので、ぜひ一度聞き比べてみてください。
エルガー 『威風堂々』
エルガー:「威風堂々」第1番:シノーポリ/フィルハーモニアO
楽譜の部分は1:57~
この曲も大変有名ですね。誰しもが一度は聞いたことがあると思います。
特にこの曲の中間部(トリオ)は有名で、非常に荘厳な雰囲気の行進曲となっています。
スタッカートはなんとここにも使われていて、伴奏の四分音符すべてにスタッカートが記載されています。
これを聞いていただければ、ご自身の想像する四分音符のスタッカートよりも、音が長いと感じていただけるのではないでしょうか?(八部音符よりは長めになっている)
スタッカートの四分音符と普通の八部音符は異なるということのわかりやすい例ですね。
このように、スローテンポの曲ではアーティキュレーションがより際立ちますので、正しいアーティキュレーションの音形を理解しておきたいですね。
(3)テヌート
音楽記号辞典で テヌートは
『この記号がついた音符を、十分に保って演奏することを表す。』
と説明されています。
「十分に保つ」とは、その音を音価いっぱいに伸ばすという意味です。
上の音源でも、音が少し長くなったような雰囲気で、スラーと少し似ていますね。
しかし、スラーとは大きく異なる点があります。
それは、「次の音とはっきり分かれている」という点です。
テヌートの音形を見てみましょう。
テヌート音形の成り立ちはスラーと似ていて、音を保つためにコアを長くしています。
そして、その分リリースが短くなっています。
また、リリースが短くなった分、減衰は急激になっていますね。
スタッカートの項でも説明しましたが、急激に音を小さくすると、その音ははっきりと聞こえるようになります。
つまりテヌートは、
「音を十分に保たせつつ、はっきりとした音」
という印象になり、次の音と明確に区別して演奏します。
一方スラーは、次の音となめらかに繋げるものでしたので、その点が異なります。
スラーとの違いは複数の音に連続でテヌートがついた場合に顕著になります。
このように、テヌートの場合ではすべての音にリリースが付き、かつリリースの音の減衰も一瞬なので、音が非常に際立って区別されます。
一方、スラーではすべての音がつながっており、リリースは最後の音だけです。
ではテヌートの実例を見ていきましょう!
ムソルグスキー 『展覧会の絵』より「プロムナード」(編曲:ラベル)
Mussorgsky Pictures at an Exhibition Herbert von Karajan
楽譜は0:00~の部分
『展覧会の絵』でも特に有名なこの「プロムナード」の旋律には、テヌートがたくさん使われていています。
『展覧会の絵』はいくつかの絵画をモチーフにした組曲ですが、「プロムナード」は展覧会にきた人が、絵を巡回するために歩いている様子を表したもので、次の絵に移る前に必ず演奏されます。(全部で5回も演奏されます。)
荘厳で静かな展覧会の雰囲気を、テヌートによって非常にうまく演出されていますね。
リムスキー=コルサコフ 交響組曲『シェエラザード』より第1楽章
Rimsky-Korsakov: Scheherazade, Karajan & BPO (1967) リムスキー=コルサコフ「シェヘラザード」カラヤン
楽譜の部分は3:17~
非常に美しい旋律で知られる『シェエラザード』。
この曲にもテヌートは効果的に使われています。
『シェエラザード』は「アラビアンナイト」として知られる「千夜一夜物語」を題材にした楽曲です。
~千夜一夜物語のあらすじ~
妻の浮気で女性不信となってしまった王様は、毎晩生娘を宮殿に呼びつけて一夜を過ごしては、翌朝に処刑していた。とうとう町に生娘もいなくなり、大臣が困り果てたとき、大臣の娘のシェエラザードが王の愚行をやめさせるため王との結婚を志願する。
シェエラザードは毎晩命がけで、王に興味深い物語を語るが、物語が佳境に入った所で「続きはまた明日。」と話を打ち切る。
王は新しい話を望んでシェヘラザードを生かし続けた。
そして、千と一夜の物語を語り終える頃には二人の間には子どもが産まれ、王は彼女を正妻として迎え入れ、王の悪習は終わるのであった。
『シェエラザード』の各楽章には副題が存在していて、この第1楽章は
「海とシンドバッドの船」
という副題がついています。
冒頭は恐ろしい王様の旋律から始まり、その後、0:55~よりシェエラザードの美しい旋律が挿入されます。
その後は王様の旋律が変化しながら、うなるような海の様子が演出されます。
つまり、ここはシェエラザードが王様にシンドバットのお話をしている場面ということですね。
シンドバットは船に乗って島を渡り歩く商人のお話です。
荒れ狂う海によってシンドバットの情景が想起されますね。
そしてついに楽譜の3:17~の旋律が演奏され、3:34~はシンドバットの船の旋律となります。
シンドバットの物語の始まりはこうです。
島々を回る商人であるシンドバットは、とある島で美しい泉を見つけ、そこで一休みすることにします。
あまりの心地よさにそのまま寝てしまい。ふと目が覚めると仲間は誰もおらず、船はシンドバットを置き去りにして出てしまっていました。
シンドバットは仲間のもとに戻るために様々な冒険を繰り広げていきます。
このテヌートによって、うっかり寝てしまうほどの心地よさが非常に巧に表現されていますね。
そしてゆったりとした海のテーマと同時に船のテーマが演奏されることで、
シンドバットをほったらかして、悠々と船が出て行ってしまう様がありありと伝わってきます。
たった4小節のテヌートですが、背景を考えると非常に奥深い表現であることが分かりますね。
(4)アクセント
音楽記号辞典でアクセントは
『記号の付いた音を特に強く演奏することを表す』
と説明されています。
上の音源ではアクセントのついている音が確かに大きくなっていますね。
では音形はどのように変化しいるのでしょうか?
アクセントの音形を見てみましょう。
アクセントは上図のように、アタックの音量を少し大きくしたような音形をしています。
肝心なのはコアは通常の音量と変わらないということです。
アタックを大きく演奏したら直ちに元の音量に戻るようにしましょう。
こうすることで、全体の音量感は一定のままにその音だけを強調することができます。
また、状況によって、アタックの音量をどのくらい持続するかは変わりますが、あまりに長く強い音を持続させてしまうと、逆にあまり目立たなくなってしまうので、気を付けてください。
ではアクセントの実例を見ていきましょう!
ウェルディ 歌劇『運命の力』序曲
Verdi -La forza del destino -ouverture (ed. 1862)
歌劇『運命の力』は登場人物全員が、まるで運命で定められているかのように死に追いやられてしまうという、とても胸が苦しくなるような歌劇です。
この冒頭のE♭のユニゾンは、そんな悲しくも逃れられない冷酷な運命を力強く象徴しています。
アクセントが付くことで、運命の逆らうことのできない理不尽な力強さを巧みに表現していますね。
ストラヴィンスキー 舞踏曲『春の祭典』より第2曲 「春の兆しと乙女たちの踊り」
Le Sacre du printemps / The Rite of Spring - Ballets Russes
演奏開始は4:37~
楽譜の部分は8:00~
『火の鳥』、『ペトルーシュカ』と並んで、この『春の祭典』が特に有名ですね。
『春の祭典』は奇抜な音楽と演者のメイク、さらには、これまでのつま先立ちや高いジャンプを使った「重力からの解放」とは対照的に、地面を踏みしめたり、這いずり回ったりするような奇妙な踊りです。
初演時には暴動が生じたというエピソードがあり、その衝撃度合いは計り知れませんね。
さて、この第2曲「春の兆しと乙女たちの踊り」では、まさに地面を踏みしめるようなダンスを踊る場面です。
当時の固定観念とは完全に逆行するその様が非常に力強く表現されています。
また、アクセントが不規則に入ることで、おぞましさや、奇妙さをより際立てていますね。
Ⅳ. 「アーティキュレーション」を演奏するときの注意点
ここまではアーティキュレーションの音形や演奏方法について説明してきました。
最後に、アーティキュレーションを演奏するときの注意点について説明します。
アーティキュレーションは音形を変形する必要があるため、その演奏にはある程度の技術が必要です。
さらに、合奏でもよく取り上げ得られるものなので、練習者にとっては大きなハードルになることもしばしばです。
このような背景から、
アーティキュレーションを演奏するときに
技術的な面を中心に考えてしまう人
がいます。
これは大きな落とし穴なので気を付けましょう。
アーティキュレーションを演奏する前に
「なぜそのアーティキュレーションが指示されているのか」
という背景を知ることが重要です。
なぜなら、アーティキュレーションは音の表情のニュアンスを示すもので、その指示は非常に曖昧だからです。
曖昧だからこそ、その表情の裏にある心情やメッセージをくみ取ってアーティキュレーションを解釈してください。
今回の実例紹介では、その曲の背景や作曲者の意図が、アーティキュレーションによって非常に効果的に表現されていることを理解していただけるように気を配りました。
「スタッカートがついているから音を短くする」というだけの短絡的な考えではなく、
「どうしてここにスタッカートを付けたのだろうか?」
とぜひ一度考えみましょう。
頭をひねってもよくわからない場合は、指揮者や先生に聞いてもよいです。
作曲者の音楽性は非常に豊かです。
ぜひアーティキュレーションの裏にある心情や意図をくみ取って、音楽の広い可能性や豊かな表現力に触れてみてください。(^^)/
ここまでお読みいただき誠にありがとうございます。(#^^#)
これでもうアーティキュレーションは怖くありません!
合奏ではぜひ指揮者に「このアーティキュレーションの意図は何でしょうか?」と質問してやりましょう!
さて、次回はリズムの練習で必ず聞くことになる「シンコペーション」について解説します。
ぜひご一読ください!(^^)/
これだけは知っておきたい合奏用語かんたん解説!! 第4回 アウフタクト(弱起)
指揮者「じゃあBのアウフタクトから全員で」
奏者(アウフタクトって何??)
皆さんこんにちは!
このブログの筆者のドミトリーです!(^^)/
このシリーズは合奏用語解説と銘打ちまして、吹奏楽の合奏でよく使われる言葉について解説をしています。
初めて合奏に加わる人にもわかるよう簡単に解説しますので、この記事を読んで指揮者の言っていることをどんどん理解していきましょう!(^^♪
前回の第3回では、「スケール」について解説しました。
ドュアーとモールって何が違うの?(´;ω;`)
という方向けに、長調と短調の違いとその成り立ちについて解説しています。
合わせて効果的な練習方法も紹介していますので、ぜひご一読ください。(^^♪
さて、第4回は「アウフタクト(弱起)」について解説します。
合奏では指揮者がよく「Dのアウフタクトから吹いて」というような形で聞くことが多いと思います。
合奏ではアウフタクトから演奏することが非常に多いので、合奏に加わる際に「アウフタクト」意味についてしっかり理解しておきましょう!(^^)/
そこで今回は
・ 「アウフタクト」って何?
・「アウフタクト」がある場合の小節番号の注意
について解説していきます。
この記事を読めば、アウフタクトは完璧!
指揮者にアウフタクトからやってと言われてもすぐに吹けるようになります。
ーーー簡単な自己紹介ーーー
私は現在とある一般サークルのバンドで指揮者をしています。
しかしこれまで音楽の勉強を真面目にやったことがない「愚か者」でした。
ドラッカーの本を読んで、これを猛省し、現在は音楽の勉強をするようになりました。
ここでは音楽初心者から経験者まで、ご自身の音楽活動に役立つように、私が勉強したことをわかりやすく発信していきます!
Ⅰ.「アウフタクト」って何?
「アウフタクト」とは「小節の途中からフレーズが始まること、もしくはその部分」を指すドイツ語の言葉です。
日本語では「弱起(じゃっき)」と言います。
言葉だけではわかりにくいので、ここでは個人的に最も有名だと思うアウフタクトの曲である、『ハッピバースデートゥーユー』を使って解説します。
この曲は4つのフレーズから構成されていますが、各フレーズの出だしは小節の1拍目ではなく、3拍目から始まっています。
このように、1拍目以外からフレーズが始まることを「アウフタクト」と言います。
また、はみ出ている部分(下図の赤い部分)も同様に「アウフタクト」と呼びます。
これだけです。
「アウフタクト」は一度理解してしまえばすぐに使いこなせるワードだと思います。(#^^#)
次に、よりアウフタクトについて理解しやすいよう、実例を解説も交えていくつか紹介したいと思います。(^^)/
1. 2拍目から始まる曲
グルッグ:「アウリスのイフィゲニア」序曲
OVERTURE TO IPHIGENIE EN AULIDE by Gluck {Audio + Full score}
グルッグ(1714ー1787)はドイツに生たオペラ作曲家で、オペラ『オルフェオとエウリディーチェ』を作曲した人として有名です。
当時は古典派音楽の時代でバッハとかモーツァルトが活躍していたころで、対位法による音楽と旋律主義の音楽が主流でした。
この曲からも対位法と旋律主義の流れが強く感じられますね。(#^^#)
ちなみに、グルッグのオペラ『オルフェオとエウリディーチェ』は後に、オッフェンバックによって『天国と地獄』でよく知られるオペレッタ『地獄のオルフェ』のパロディ元にもなっています。
詳しくは過去記事で紹介しています。
ロマン派 オッフェンバックの項を読んでみてください。(^^♪
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シャブリエ:『気まぐれなブーケ』
時代はロマン派の後期です。
ロシアやチェコで民謡を使った国民楽派の流れが活発だった時代から、徐々にフランスの印象派音楽が台頭してきて、近代音楽へと移行してる時期です。
この『気まぐれなブーケ』は形にとらわれないユーモアある旋律で、ドビュッシーやラベルのような印象派音楽の雰囲気を感じられますね。
2. 3拍目から始まる曲
ビゼー:『アルルの女』組曲第二番より「ファランドール」
[Václav Smetáček] Bizet: L'Arlésienne Suite No.2 - Farandole
ビゼー(1838~1875)はフランス生まれの音楽家で、「カルメン」の作曲者として有名です。
当時はロマン派時代の真っ只中で、歌劇や歌曲が非常に栄えていました。
歌曲が栄える中で、民謡を取り込む動きが徐々に起きて、のちのロシアやチェコで国民楽派の音楽として大きなムーブメントとなります。
ビゼーはこの民謡をいち早く歌劇に取り入れた一人です。
この曲はフランス民謡『三人の王様の行進』の旋律がそのまま使われています。
詳しくは過去記事 ビゼーの項をご一読ください。(^^)/
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ブラームス:交響曲第三番 第3楽章
Johannes Brahms - Symphony no.3, op.90 (complete)
第3楽章は19:20~です。
ブラームス(1833-1897)はドイツに生まれ、バッハ、ベートーベンと合わせてドイツ音楽の3大Bと呼ばれている作曲家です。
時代はちょうど先ほど紹介したビゼーと同じような時期でロマン派時代です。
ブラームスはバッハのような古典派の音楽も書いていますが、この曲は非常に多彩な表現があふれており、歌劇的な雰囲気も感じられるロマン派チックな曲になっています。
3. 4拍目から始まる曲
ビゼー:歌劇『カルメン』より「闘牛の歌」
Votre toast, Je peux vous le rendre (Carmen - G. Bizet) Score Animation
ビゼーからもう一曲。誰もが聞いたことがあるであろう歌劇『カルメン』より「闘牛の歌」です。
この曲も楽譜を見てもらえばわかるように、アウフタクトが使われているのですね。(^^)/
ショスタコーヴィッチ:オラトリオ『森の歌』より第一曲「戦いが終わったとき」
ショスタコーヴィチ :オラトリオ 「森の歌」ユルロフ Shostakovich : Song of the Forests
ショスタコーヴィッチ(1906~1975)はロシア生まれの作曲家です。
ショスタコーヴィッチが活躍した時代は近代音楽の時代で、ドビュッシーやラベルなどの印象派音楽のさらに後です。
しかし、ロシアでは1850年ごろに起こった民謡を使って音楽を作るという国民楽派の動きが今なお色濃く残っていて、この曲はロシア民謡風の曲調になっています。
これまた過去記事で詳しく解説していますので、下の記事のショスタコーヴィッチの項をご覧ください(^^♪
Ⅱ.「アウフタクト」がある場合の小節番号の注意
指揮者はよく小節番号を使って指示を出しますが、アウフタクトのある曲では少し注意が必要です。
小節番号は最初の完全小節を1小節目と数えます。
完全小節とは、既定の拍数が揃っている小節のことで、4分の3拍子なら3拍揃っている小節のことです。
反対に既定の拍数に満たない小節を不完全小節といいます。
ハッピバースデートューユーのように、不完全小節から始まる曲については、アウフタクトの次の小節から番号を数えていきます。
しかし、中には最初に休符を付けて完全小節としているアウフタクトもあります。
この場合は、アウフタクトの小節が1小節目となります。
このように、アウフタクトの小節の数え方は少しややこしいので注意しましょう。
最初が完全小節か不完全小節なのかを確認することが重要です。
Ⅲ.まとめ
ここまでお読みいただき誠にありがとうございます。(#^^#)
楽器を吹いていれば必ずと言っていいほどアウフタクトは目にすると思います。
アウフタクト普段聞きなれない言葉ですが、その意味についてご理解いただけたかと思います。
さて、次回は合奏で頻繁に飛び交うであろうワード、「アーティキュレーション」について解説します。
図形でわかりやすく解説しいますので、ぜひお読みください。
Ⅳ.参考図書
今回の記事でアーティキュレーションの例として挙げたものは以下の本から抜粋いたしました。
少し古い本ですが、指揮法について、たいへん実直に考察された本です。
現在指揮棒を振っている人には非常に参考になると思いますので、よかったらぜひご一読ください。(#^^#)
これだけは知っておきたい合奏用語かんたん解説!! 第3回 スケール(音階)<長調と短調>
指揮者「じゃあ基礎合奏の最初はベードュアーのスケールからやろうか」
奏者(は?べードュアーって何?スケールって何??)
皆さんこんにちは!
このブログの筆者のドミトリーです!(^^)/
このシリーズは合奏用語解説と銘打ちまして、吹奏楽の合奏でよく使われる言葉について解説をしています。
初めて合奏に加わる人にもわかるよう簡単に解説しますので、この記事を読んで指揮者の言っていることをどんどん理解していきましょう!(^^♪
前回の第2回では、「チューニング」について解説しました。
チューニングの時間が怖い(´;ω;`)
という方向けに、チューニングをやり過ごすコツや、チューニングが怖くなくなる練習方法について紹介していますので、ぜひご一読ください。
さて、第3回は「スケール」について解説します。
基礎合奏で「スケール」の練習を取り入れているバンドは多いと思います。
しかし、多くのプレイヤーは漫然と「スケール」練習をしているだけで、「スケール」練習の目的を意識して吹いている人は非常に少ないです。
また、複雑な運指をスピーディに切り替える必要があるので、「スケール」練習は初心者にとって難しい練習の一つでしょう。
そんな「スケール」練習ですが、ある点に注意しながら練習することで、初心者から上級者まで、非常に多くのメリットがある練習なのです。
そこで今回は
・ そもそも「スケール」とは何なのか
・「スケール」を練習するメリット
・「スケール」を練習するときの注意点
について解説していきます。
この記事を読めば、もう「スケール」を練習せずにはいられない!
しっかりとした「スケール」の知識と練習方法を知ることで、今までよりもさらに演奏スキルがアップすると思います!
これまで上の空だった基礎合奏の「スケール」練習が、より充実した時間になるでしょう。
初心者だけでなく、そろそろ基礎合奏に慣れてきた中・上級者の人にもぜひ読んでいただきたい内容です。
ーーー簡単な自己紹介ーーー
私は現在とある一般サークルのバンドで指揮者をしています。
しかしこれまで音楽の勉強を真面目にやったことがない「愚か者」でした。
ドラッカーの本を読んで、これを猛省し、現在は音楽の勉強をするようになりました。
ここでは音楽初心者から経験者まで、ご自身の音楽活動に役立つように、私が勉強したことをわかりやすく発信していきます!
Ⅰ.「スケール」って何?
「スケール」とは日本語でいう「音階」のことです。
具体的にどんなものがあるのか、詳しく見ていきましょう。(^^)/
1.スケールの定義とその種類
音階について本で調べてみると、
『高さの違う音が順番に規則正しく並んでいる状態を音階(scale)といいます。』(坂口 博樹著 『「しくみ」から理解する楽典 43p参照)
と記載されています。
簡単に言うと「ドレミファソラシ」の音の並びのことです。
現在ではこの7つの音でできた音階が主流で非常に有名ですね。
7音の音階のほかにも、6音でできたブルーススケール、日本古来からある5音のヨナ抜き音階、同じく5音の琉球音階など、様々なスケールが存在しています。
音階を構成する音の数はいくつでもいいし、それぞれの音の音程の幅にも規定はありません。
一口に音階と言っても、非常にたくさんの種類があるんですね。(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)
吹奏楽やクラシック音楽では主に以下の2つの7音の音階を使って音楽が作られます。
この2つのスケールを知っていれば、ほとんどの曲を演奏することはできるので、今回はこの2つの音階を軸に解説をしてきます。(^^♪
長調と短調の2つの音階は17世紀のヨーロッパで生まれた音階とされています。
それ以前では教会旋法やグレゴリオ旋法というものが主流でしたが、それらではどれも似通った曲になってしまい面白みがありませんでした。
そこで、音楽に変化をつけたり、いくつもの声部で和音を作ったりする動きが盛んになって、徐々にこの2種類の音階による音楽にとって代わったとされています。*1
現在の吹奏楽やクラシック音楽はヨーロッパで広がった教会音楽から発展してきた文化です。
なので、昔のヨーロッパで広がりを見せたこの2つの音階が今でも多く使われています。
音楽の歴史については別記事にまとめています。
過去の音楽文化の歩みを知ることで、より一層理解が深まることは非常に多いので、ぜひご一読ください。(^^)/
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2.スケールの基礎知識(全音と半音、音の度数や導音)
スケールの説明に入る前に、スケールの説明でよく使う用語の説明をしておきます。
もう知ってるよ!という人は読み飛ばしてください。(#^^#)
スケールの説明では以下のような言葉がよく出てきます。
(1)全音と半音
(2)音の度数とそれぞれの名前(主音、導音)
少し慣れない表現が増えますが、これらはスケールの解説のほかに、和音やコード進行の説明でも頻繁に使われます。
これを理解することで、音楽の分析ができるようになって、音楽表現がより広がるようになりますので、頑張りましょう!(^^)/
(1)全音と半音
「全音」と「半音」はスケールの説明に頻繁に出てくるワードです。
この機会に覚えてしまいましょう。
ピアノの鍵盤を見てみると、1オクターブの中に白鍵と黒鍵合わせて12個の鍵盤があります。
このように、1オクターブは12個の音に分割されています。
その最小単位、隣合う鍵盤同士の関係のことを「半音」と呼びます。
そして、半音2つ分の関係、つまり間に鍵盤がある関係のことを「全音」と呼びます。
例えば「ドとド♯」、「ミとファ」などは間に鍵盤がなく、隣り合っているので半音の関係です。
また、「ドとレ」、「ミとファ♯」などは間に鍵盤が1つ入りますので、全音の関係にあります。
(2)音の度数とそれぞれの名前(主音、導音)
スケールや和音の説明の際には、音の高さの幅(音程)についてよく話が出てきます。
例えば、「ドとミの音程の幅」と「ドとラの音程の幅」を比べるなど。
音程の幅は度数という数字で表現しますので、これも覚えてしまいましょう。
基準の音と比較して同じ音なら「1度」と数えます。(またはローマ数字のⅠとします。)
その後は音階の音に沿って2度(Ⅱ)、3度(Ⅲ)と数えていきます。
上の図ではドを基準に数えていますが、基準にする音はどれでも構いません。
例えば、ミとラであれば4度(Ⅳ)の関係にあると表現します。
また、音階にはその雰囲気を出すのに非常に重要な役割を持った音があり、それぞれに特別な名前がついています。
・主音
音階の始めの音のこと。この音を基準に音階は形成されるので、その音階の主役的存在。
音階ではそれぞれの音の高さの幅を決めているだけなので、基準となる主音はなんでもよいです。
つまり、すべての音階は半音階の12音すべてが主音とすることができます。
逆に主音が決まらないと音階が定まらないので、音階の一番大事な音です。
・下属音
主音から4度上の音のことです。
もともと長音階と短音階はその前身である4音の音階(テトラコードと言います)が2つ連結されたもので、下属音は前半のテトラコード終わりを示す音として重要な役割を持っています。
この音を根音とした3和音はサブドミナントと呼ばれ、コード進行では非常に重要な和音になります。
・属音
主音から5度上の音のことです。
後半のテトラコードの主音にあたる音で、大黒柱的存在です。
この音を主音にした3和音はドミナントと呼ばれ、コード進行では特に超重要です。
・導音
主音の7度上の音です。
この音を聞いた人は、次に主音が聞きたくなってしまいます。
どんな音なのか聞いてみましょう。
導音の後には主音が来そうな予感がしますよね。
このように、主音を導くような役割があることから導音と呼ばれます。
昔から音楽では導音を使って次に主音につなげることで音楽を作ってきました。
よって非常に重要な音です。
主音と導音の関係は特に短音階で非常に重要になってきます。
では、基本的な知識の解説が終わったところで、いよいよ次項では長音階と短音階について説明していきます。(#^^#)
3.長音階(ドュアー、メジャー)
まずは単純な長音階から解説します。(^^♪
長音階は主音から(全全半全全全半)の7つの音で構成される音階のことです。
上の図では実音の下に主音からの音の度数と、主音をドとしたときのそれぞれの音のドレミを表記しています。
ドイツ語ではドュアー、英語ではメジャーといい、音階の最初の音である主音の音名を頭に着けて、B(ベー)ドュアーとかC(ツェー)メジャーと表現します。
冒頭の指揮者の発言にあります、「ベードュアー」とはBを主音にした長音階のことだったんですね。(゚д゚)(。_。)
長音階は明るい感じと安定した響きをもつ音階です。
よく聞く普通の音階で、確かに明るくて非常に安定感がありますね。
長音階が安定しているように聞こえるのは、前半のテトラコード(全全半)と後半のテトラコード(全全半)の構成が同じだからです。
後で短調の説明をしますが、短調では前後のテトラコードの構成が異なるので、長音階と変わって非常に不安定になります。
ちなみに、主音をB(ベー)にしたときはこんな感じ
Cドュアーのときと比べると少しマイルドですが、同じように明るい印象のある響きで、Cドュアーと似た雰囲気を持っていますね。
このように主音を変えても音階の雰囲気は大きく崩れません。
(これは短調の場合も同じです。)
ここで、主音をE♭に変えたときの長音階の構造を見てみましょう。
先ほどと同じく、上の図では実音の下に主音からの音の度数と、主音をドとしたときのそれぞれの音のドレミを表記しています。
主音が変わっても(全全半全全全半)の関係は崩れないことが分かりますね。
E♭ドュアーはCドュアーのそれぞれの音を鍵盤3つ分ずらしたものになります。
ちなみに主音に沿ってドの位置を変えることを移動ド唱法と呼び、スケールの説明ではたびたび移動ドの考え方が持ち出されることがあります。
対して、実音のように常にドの位置を固定することを固定ド唱法と呼びます。
ここでは移動ドはイタリア音名。固定ドはドイツ音名で表記しています。
ドイツ音名については第1回の記事で解説しています。
上の図を観察すると、E♭ドュアーでは必ずEとAとHに♭が付くことがわかります。
また、図にはしてませんが、Bを主音とした場合ではEとHに♭が付きます。
このように、実は各主音によって♭や♯の数と場所が決まっています。
これを調号と言い、下図のように楽譜の左端に書きます。
なお、調合は臨時記号と異なって、すべてのオクターブに効力がありますので気を付けてください。(臨時記号はオクターブを超えての効果はありません)
調号は主音によって決まりますので、これを利用して、♭や♯の数からそれが何を主音とした調なのか判断することもできます。
調号の♭・♯の付き方には決まりがあります。
フラットの調号は(シ・ミ・ラ・レ・ソ・ド・ファ)の順で増えていき、主音は最後の調号の一つ手前の音になります。
シャープの調号は逆に(ファ・ド・ソ・レ・ラ・ミ・シ)の順で増えていき、主音は最後の調号の2度上の音になります。
楽譜がどの調で書かれているのかすぐにわかるよう、ぜひ覚えておきましょう。(^^)/
4.短音階(モール、マイナー)
短音階はドイツ語でモール、英語ではマイナーといい、音階の最初の音である主音の音名を頭に着けて、BモールとかCマイナーと表現します。
また短音階は非常に不安定であるために、3つの音階にさらに別れています。
(1)自然短音階
まずは最も単純な自然短音階から解説します。
自然短音階は長音階をすべて3度下げたもので、主音から(全半全全半全全)の7つ音で構成されています。
自然短音階は前半と後半のテトラコードで3度の音(ラとド、ミとソ)が(全+半)の構成になるため、暗い感じがします。
また、前半のテトラコードは(全半全)、後半のテトラコードは(半全全)とその構成が異なっていて、不安定に聞こえます。
実際に聞いてみましょう。
たしかに 暗くて不安定な感じがしますね。
さらに、この音階の最大の特徴であり最大の欠点は、7音(Ⅶ)が次の8音(Ⅷ)の主音と全音の関係となっていて、導音が存在しないことです。
長音階では導音の働きにより、主音が聞きたくてたまらない効果がありました。
<長音階の導音>
では自然短音階ではどうなっているのでしょうか?
聞いてみましょう。
<自然短音階の導音もどき>
長音階の導音と比べると「主音が聞きたい!」という欲求は起きませんね。
そもそも、長音階の導音であるシはドと半音の関係にあることで、導音として機能するのです。
よって、全音の関係であるソとラでは音程に開きがありすぎて、導音として機能しないのです。
では、ここでソを半音上げて、ラと半音の関係にした場合どうなるでしょうか?
聞いていましょう。(^^)/
長音階のときと同じように、ラの音が聞きたくてたまらない感じが出てきましたね!
ソ♯とラが半音の関係なのでソ♯がラの音を導いてくれます。
このことを利用した音階が次に解説する和声的短音階です。
(2)和声短音階
主音から(全半全全半増半)の7つ音で構成されています。
増とは「全音+半音」という意味です。
この音階は7度の音が半音上がっているために導音としての働きを持っています。
そのため、導音を持たない自然短音階と比較して、7度→8度(主音)の流れが非常にスムーズであることが特徴です。
和音の進行にはこの7度→8度(主音)の流れが非常に重要で、この音階は主に短調の和音に使用されるので、和声的短音階と呼ばれています。
実際に聞いてみましょう。
確かに、7度→8度(主音)の流れがスムーズであることがわかりますね。
しかし 注意深く聞くと、6度→7度(ファ→ソ♯)の切り替わりがぎこちないです。
問題の部分を抜き出すと以下のようになります。
このスケールは7度の音を半音上げたことにより、6度と7度の音の間は増音(全音+半音)で、非常に離れています。
この広すぎる音程の幅がぎこちなさを出している原因です。
スケールにぎこちない部分があると、旋律を作る際に違和感が出てしまい、非常に使いにくいです。
そこで違和感をなくすために、6度の音を半音上げて音程の幅をそろえることが考え出されました。
実際に変更したものを聞いてみましょう。
確かに違和感なくスムーズに音が変化しているように感じます。
このような考えで生まれた音階が、次に紹介する旋律的短音階がです。
(3)旋律短音階
和声的短音階は、自然短音階の6度と7度の音を半音上げたものです。
主音から(全半全全全全半)の7つ音で構成されています。
この音階は7音が半音上がっているために導音として働きます。
さらに和声的短音階で見られたような極端な音程の開きもないため、非常にスムーズに音を変化させることができることが特徴です。
これにより、この音階であれば、音の相性を気にせずに旋律を作ることができるので、旋律的短音階と呼ばれています。
実際に聞いてみましょう。
確かにそれぞれの音の移り変わりが非常にスムーズですね。
しかし、3小節目あたりになんだか長調のような雰囲気を感じます。
少し詳しく見てみましょう。
なんと!
ここだけ聞くと完全な長調です。
実は、旋律的短音階は短調の音階なのにほとんど長調の音階と同じなのです。
具体的には3度の音が半音異なるだけで、そのほかの音はすべて同じ音となっています。
だから後半だけを聞くと長調のように聞こえたんですね。
さて、いくらスムーズに音が変わってくれるからと言っても、せっかく短調にして雰囲気を変えようとしているのに長調の雰囲気が入っていては使いものになりません。
そこでさらに工夫をします。
それは、下降するときには自然短音階を使うという手法です。
そもそも、この旋律的短音階が生まれたきっかけは、和声的短音階の欠点を補うことでした。
また、和声的短音階は導音がない自然短音階に無理やり導音を作った音階でした。
つまり、旋律的短音階の生まれたきっかけは「導音」を作ることから始まっていますので、導音が必要ない場面では旋律的短音階を使うメリットはありません。
旋律的短音階は、主音以外の音から導音を経由して主音に移りたいというような、上昇系の旋律に使われます。
逆に主音から次の音に移るような下降系の旋律には導音は要りませんので、自然短音階を使用すればよいわけです。
よって、下記のように下降するときは自然短音階を使用すれば、短調の雰囲気を維持することができます。
これを適用して最初のスケールを修正するとこのようになります。
全体の音の移り変わりをスムーズにしつつ、短調の雰囲気を保っていますね。
このように、短調では上昇するときに旋律的短音階、下降するときには自然短音階を使用することが多いです。
Ⅱ.「スケール」を練習するメリット
初心者の最初の基礎練習と言えばスケール練習です。
先輩や先生から言われるがまま練習している人も多いと思いますが、スケール練習にはメリットがたくさんあります。
せっかく練習するのだから、メリットを知ったうえで練習を頑張りましょう。(^^)/
1.いろんな曲が「すぐ」に吹けるようになる
アマチュア奏者にとって、スケール練習の最大のメリットは楽譜を見て「すぐ」に曲が吹けるようになることです。
吹奏楽やクラシックは先ほど紹介した長音階と短音階で作られることがほとんどです。
よって、スケールが吹けるようになっていれば、どんな曲もちょっと練習すれば吹けますし、慣れてくると練習しなくてもすぐに吹けるようになります。
楽譜をみて最初に吹くことを「初見」と言いますが、初見が強いと、持ち寄った楽譜をみんなでパッと吹くみたいな遊びができて、演奏活動が一層楽しくなりますよ。(*^-^*)
2.音別のムラがなくなり、きれいに曲が吹けるようになる
プロやアマ問わず、本来のスケール練習の目的は音のムラをなくすことです。
例えば、BはよくなるけどHの音の鳴りが悪いというのは、聴衆にとって非常に都合が悪いです。
気持ちよく聞いているとこで急に音が小さくなると、そちらに気がとられて曲に集中できなくなってしまいます。
昔の楽器は楽器ごとに調が決まっていて、鳴りやすい音だけを使うように作曲者が工夫している時期もありました。
しかし現在の楽器は金属加工技術の発達で12音を自由自在に出すことができるので、どんな音がきてもきれいな音を出せる状態が望ましいし、作曲者も制限なく色々な調の曲を書いています。
そこで、全12調のスケールを練習することで、どの調の曲でもきれいな音で演奏できるようにしておくというのが、スケール練習の本来の目的です。
Ⅲ.「スケール」を練習するときの注意点
スケールの練習の目的は上でも説明しましたが、音ムラをなくすことにあります。
ついつい速いテンポで指を動かくすことに集中しがちですが、12調のそれぞれの7つの音がムラなくきれいに鳴るように、気を付けて練習しましょう。
1.テンポはゆっくりから始めよう
スケール練習は♩=60くらいの非常にゆっくりとしたテンポから行いましょう。
スケールの練習は指を動かくことに意識が行きがちですが、指がきれいに動いたとしても、音が鳴っていなければ聴衆にとっては無意味です。
指ではなく自身の音を意識できるように、ゆっくりから練習するようにしましょう。
2.音の間にノイズが入らないようにしよう
ゆっくり練習した際に、次の音へ移るときにノイズが入らないように気を付けましょう。
音の切り替わりでノイズが入ってしまうと、曲中でもノイズが入ってしまいます。
また、将来的に速い連譜を吹く必要が出てきたときに、ノイズだらけになって演奏が台無しになることもあります。
ゆっくり練習しているときからノイズにも気を配りましょう。
テンポはゆっくりですが、運指の切り替えはできるだけ早く行うというのがポイントです。
特に多くの指が同時に動くような音の切り替わりはよく練習しましょう。
薬指は自身が思うよりも動きが遅いことが多いので、注意してみてください。
3.全部の音が均一に鳴るよう練習しよう
今吹いている音と、一つ前に吹いた音の響きに違いがないか確認しながら吹いていきましょう。
これがスケール練習の肝です。
音ムラがないかしっかり確認しながら一つずつ音を出していきましょう。
自分の音をよく聞くことが大切です。
録音すると自分の音がよくわかるので効果的です。
他の音と比べて明らかに鳴りが悪い音がある場合は、経験者か楽器の先生にアドバイスをもらって改善していきましょう。
これを繰り返すことで、音のムラはグッと小さくなって、初めて吹く曲でもきれいな音で吹けるようになってきます。
4.慣れてきたらテンポを上げよう
1.~3.の練習に慣れて、12調のスケールが吹けるようになったら、少しずつテンポを上げていきましょう。
テンポを上げても音ムラには気を配ってください。
ノイズも入りやすくなるので注意が必要です。
♩=240くらいのテンポで12調を吹けるようになれば、もう上級者です。
Ⅳ.まとめ
ここまでお読みいただき誠にありがとうございます。(#^^#)
スケールの練習はかなり時間がかかると思いますが、焦らずに少しずつ、ひとつずつ吹けるスケールを増やしていってください。
そうしているうちに、だんだん曲も吹けるようになってくると思います。
さて、これまでは基礎合奏に焦点を当てて解説してきました。
次回からは、いよいよ曲の合奏で飛び交う合奏用語について解説していきます。
第4回は「アウフタクト」についてです。
Ⅴ.配布物
最後にせっかくなので、全12調のスケールの楽譜を配布します。
スケールの練習にぜひ役立ててください。
Dropbox - スケール集_♯系.pdf - Simplify your life
Dropbox - スケール集_♭系.pdf - Simplify your life
*1:坂口 博樹著 『「しくみ」から理解する楽典 60p参照
これだけは知っておきたい合奏用語かんたん解説!! 第2回 チューニングの方法(ピッチ合わせ)
指揮者「そこチューニング(ピッチ)合ってないな。
音鳴らすからちょっと一人で吹いてくれる?」
奏者(え!!みんなの前で一人で吹くの??!!)
皆さんこんにちは!
このブログの筆者のドミトリーです!(^^)/
このシリーズでは合奏用語解説と銘打ちまして、吹奏楽の合奏でよく使われる言葉について解説をしていきます。
初めて合奏に加わる人にもわかるよう簡単に解説しますので、この記事を読んで指揮者の言っていることをどんどん理解していきましょう!(^^♪
前回の第1回では、「ドイツ音名」について解説しました。
「ベー」ってなんだ?という人はぜひご一読ください。
さて、第2回は「チューニング」について解説します。
おそらく「チューニング」は初心者にとっての最初にぶちあたる壁だと思います。
しかも冒頭のやり取りのように、合奏中に突然一人で吹かされるなんていう地獄もあります。
1年以上練習した中級者レベルの人でも、「チューニング」は難しいし、合奏では嫌な時間と感じている人も多いでしょう。
今回は
・ そもそも「チューニング」とは何なのか
・「チューニング」は何のためにやっているのか
・「チューニング」をうまく乗り切るコツ
・「チューニング」が怖くなくなる練習方法
について解説していきます。
この記事を読めば、もう「チューニング」は怖くない!
基礎合奏を涼しい顔して乗り越えることができるようになります。
初心者だけでなく、「チューニング」恐怖症の中級者の人にもぜひ読んでいただきたい内容です。
ーーー簡単な自己紹介ーーー
私は現在とある一般サークルのバンドで指揮者をしています。
しかしこれまで音楽の勉強を真面目にやったことがない「愚か者」でした。
ドラッカーの本を読んで、これを猛省し、現在は音楽の勉強をするようになりました。
ここでは音楽初心者から経験者まで、ご自身の音楽活動に役立つように、私が勉強したことをわかりやすく発信していきます!
- Ⅰ.「チューニング」って何?
- Ⅱ.「チューニング」の目的とは?
- Ⅲ.今日から使える「チューニング」をうまく乗り切るコツ
- Ⅳ.「チューニング」が怖くなくなる練習方法
- Ⅴ.配布物
- Ⅵ.参考
Ⅰ.「チューニング」って何?
まずは「チューニング」とは何なのかについて解説しましょう。
演奏会や合奏の最初によく行われるチューニング。
これは一体何をしているのでしょうか?
Orchestra Tuning オーケストラのチューニング
1.チューニングは何をしているの?
チューニングでは各楽器の
「音程合わせ」
を行っています。
実は、演奏する場所の気温や湿度、奏者のコンディションなどが影響し、
楽器の音程は変化してしまいます。
後述しますが、音程がずれていると綺麗なハーモニーが作れません。
そのため、それぞれの楽器の音程を合わせる必要があるのです。
つまりこのチューニングは、合奏や演奏会では必ず行う作業となっています。
2.なんの音に合わせるの?
オーケストラでは「A(アー)」、吹奏楽では「B(ベー)」の音を使って、みんなの音を合わせます。
ちなみに、よく「今日のチューニングは440でお願いします」というようなやり取りがありますが、これは「1秒間に440回振動するAの音を基準にしてね。」という意味です。
人間の耳は結構いい加減で、420~450Hzくらいの音はすべてAに聞こえます。
※1秒間に振動する回数を「周波数」といい「Hz」という単位で表します。
よって、どの周波数のAを基準にするのかを決める必要があるんですね。
<補足~音の表記について>
A(アー)やB(ベー)はドイツ音名というものです。
よくわからないという方は「第1回ドイツ音名と実音」をご一読ください。
3.基準の音は誰が吹くの?
基準の音を出すのは、誰でも構いません。
しかし習慣的に決まっている場合もあるので、ここでは演奏会の場合と練習の場合でよく行われるチューニングの担当を説明します。
演奏会の場合
演奏会ではほとんどの場合オーボエが基準の音を吹きます。
これはオーボエの音はよく響いて聞こえやすいことと、オーボエは楽器の構造上音程をあまり変えることができないという理由からです。
オーボエがいない場合は、オーケストラでは第1バイオリン、吹奏楽なら1stクラリネットの音に合わせることが多いです。
練習時
合奏などではハーモニーディレクターで音を出すことが多いです。
ずーっと同じ音を吹き続けるのはしんどいですからね。( ;∀;)
機械に任せてしまうことが多いです。
Ⅱ.「チューニング」の目的とは?
そもそもチューニングは何のためにやっているのでしょう?
チューニングの目的は
「きれいなハーモニーを作るための下準備」
と言えます。
あまりピンときませんね。(・・?
チューニングが音程合わせであることは先ほど説明しましたが、なぜ音程を合わせることが、きれいなハーモニーの下準備になるのでしょうか?
1.チューニングによるハーモニーの違い
百聞は一見に如かずとよく言いますが、
ここでは百見は一聞に如かずということで、まずはチューニングが整っていない場合の演奏を聞いてみましょう。
<チューニングが合ってないカエルの歌>
なんかウネウネしていて濁ったハーモニーになっていますね。
このウネウネのことを「うなり」と言います。
一方、チューニングを合わせるとどうなるのでしょう?
<チューニングが合っているカエルの歌>
整っていてすっきりとしたハーモニーですね。
このように、チューニングが合っていいない状態ではハーモニーが合わず、練習にもなりません。
演奏会ではお客さんに不快な思いをさせてしまうことになります。
よって、本番の直前ではもちろんのこと、合奏前にもチューニングで音程を合わせることで、きれいなハーモニーを作る準備が重要になるのです。
チューニングが合っていない状態では「うなり」が発生してしまい、ハーモニーがきれいに整いませんでした。
どうして「うなり」は発生するのでしょう?
せっかくの機会なので、少し長くなりますが詳しく解説したいと思います。
2.どうして「うなり」が発生するのか
うなりが発生する原因を一言で説明すると、
『周波数のずれにより周期的に音の大きさが変化する』からです。
その時の波形はこんな感じ。
波形?音の大きさが変化??(。´・ω・)?
う~ん、なんとも難しそうな話ですね。
でも安心してください!
以下の3つのポイントを知れば簡単に理解できる話です。(^^)/
・音は空気の振動で波であること
・波形の見方
・波の重ね合わせ
では早速ひとつずつ解説していきましょう。
(1)音は空気の振動で波である
そもそも音とは何なのでしょうか。
図書館で借りてきた本から引用すると、
『音は物が振動することで発生します。この振動が空気を伝わって私たちの耳に届き、耳から脳へ信号として送られ、脳で<音>だと判断されます。
振動は空気を押したり引っ張りたりすることで、波のような動きを生みます』
と書かれています。*1
音である空気の振動は、押引きによる振動で隙間が少ない「密」の部分と隙間が多い「疎」の部分からなる波です。
これを「疎密波」や「縦波」と言い、その様子は波形によって表すことができます。
「音」=「空気の振動」ということはお分かりいただけましたでしょうか?
そして空気の振動の様子は「波形」で表現することができます。
つまり波形を見ればどんな音なのかわかるということですね。
(2)波形の見方
音は「強弱」、「高低」、「音色」の3つの要素からできています。
この3つの要素を表したものが「波形」です。
・強弱
強弱は振動が最大になる位置までの幅(振幅)で表現します。
振幅が大きいと大きな音(音①)、振幅が小さいと小さな音(音②)となります。
・高低
高低は1秒間に振動する回数(振動数)で表現します。山か谷の数を数えればOKです。
振動数が高いと高い音(音③)、振動数が低いと低い音(音①)となります。
・音色
音色は波の形で表現します。
バイオリンとフルートの音は同じ音程でも異なって聞こえます。
それは波の形が異なるためです。
波の形は異なる音を重ねることで変化します。
実は、楽器は非常にたくさんの種類の音を同時に出していて(倍音やノイズ)、それらが重なることで、非常に複雑な波形をしています。
これについては次の波の重ね合わせで詳しく解説します。(*^-^*)
<補足~倍音と音色の関係について~>
例えば、楽器で「ド」の音を吹いたとすると、その中には小さな音ですが、1オクターブ上の「ド」とその上の「ソ」、2オクターブ上の「ド」とその上の「ミ」とその上の「ソ」とその上の「シ♭」・・・というような音が含まれています。
この小さな音たちを「倍音」と言って、それぞれの倍音の周波数は、基準の音の周波数の2倍、3倍、4倍・・・となっています。
最終的には、楽器の部品の振動などから出るノイズなども加わって、これらを重ね合わせると、上の図のような複雑な波の形になるのです。
また、楽器ごとでそれぞれの倍音の大きさが異なります。
よって、倍音が組み合わさってできる波の形も変わるので、音色も異なって聞こえるのです。
(3)波の重ね合わせ
複数の音が同時になっている場合、それらは重なり合って、波の形が変化します。
チューニングのうなりも音の重なりによって発生しています。
では、実際に2つ以上の音が同時に鳴ったらどうなるのかについてみていきましょう。
2つ以上の音が鳴った場合、合成音の波形はそれぞれの波形を単純に足したものになります。
↓の図を見ると、それぞれの波形が足され、少し複雑な波の形になっていることがお分かりいただけると思います。
音1
音2
音3
合成波
また、波は分解することもできます。
どんなに複雑な波の形であっても、すべて純音(音1~3のような単純は波の形の音)の重ね合わせで合成することができるのです。
これを重ね合わせの原理と言います。*2
重ね合わせの原理から考えると、実際の楽器の波形は非常に複雑であることから、
たくさんの音が含まれているということが改めてわかりますね。
(4)どうして「うなり」は発生するのか
さて、長らく音について説明してきましたが、ここで本題です。
なぜ「うなり」は発生するのでしょうか?
440Hzと441Hzの合成波のうなり
周波数がわずかに違う2つの音が重なったときを考えてみます。
今回は図形をわかりやすくするために、50Hzと51Hzの音で検証しましょう。
0~100msの様子
「ms」とは1000分の1秒のことです。
100msまでの波形は↓の図のようになっています。
50Hzも51Hzも似たような形をしていて、波形がずれていません。
合成した波形も純音に近い形をしていますね。
しかし、2つの音の周波数がわずかに異なるので、それぞれの波形は時間がたつにつれてずれていきます。
450~550msの様子
450~550msでは、2つの音の波形のずれがちょうど山1つ分になり、合成波に大きな変化が生じます。
この時間のとき、2つの音の波形はちょうど逆向きの関係になっていて、それぞれの音が打ち消し合い、合成波の振幅が非常に小さくなります。
この状態のあとには、また2つの音の波形は少しずつ合わさっていって、ちょうど1000msでは、2つの音の波形のずれがちょうど山と谷1つ分になり、0sの状態と同じになります。
0~2000msの様子
2つの音の周波数がわずかにずれているために、合成波の振幅が大きく変化することがわかりました。
上記では100msの間の波をみていましたが、もう少し視野を広げて、2000msの間の波形を示したのがこちらです。
1秒間に1回の頻度で振幅がほとんど0になっていることがわかります。
この「振幅の周期的な変化」が「うなり」です。
どんなことが起きているのかの説明と合わせると↓のようになります。
このように周波数が1Hzずれると、2つの音の波が1秒間に山と谷1個分ずれるので、1秒間に1回うなりが発生します。
ちなみに、周波数が2Hzずれると、1秒間に山と谷2個分それぞれの波形がずれるので、うなりが1秒間に2回生じるようになります。
つまり50Hzと51Hzで説明しましたが、440Hzと441Hzでも同じうなりが起きます。
聞く分には440Hzの方が聞きやすいので、440Hzと441Hzで音源を用意しました。
実際にうなりの音を聞いてみましょう。
440Hz
441Hz
440Hzと441Hzの合成波
個別の音では同じ音に聞こえますが、合わせるとウネウネしていますね。
これが「うなり」です。
<補足~アニメーションを使った説明>
なるべく静止画でもわかるよう気を付けて解説をしましたが、中村加津雄先生のHPに非常にわかりやすいアニメーションがあります。
また、自分でうなりを発生させることができるCG教材もありますので、様々なうなりを体感してみてください。
チューニングではうなりを頼りに音合わせをしています。
うなりが聞こえなくなるように音程を合わせるのです。
逆に、演奏時にうなりが発生しないようにチューニングをしているとも言えます。
うなりは基本的に不快な音とされています。
とくに指揮者や耳の肥えた聴衆はうなりに敏感です。
なので、指揮者はうなりが少なくなるように合奏します。
合奏でチューニングとか音程合わせが多くなるのはこのためです。
音程合わせではメンバーの前で少ない人数で(ひどいときには1人で)吹かされることが多いです。
なんだか自分が下手さを晒しものにされているような感覚がして、吹きにくいし苦手な練習と感じている人も多いと思います。
そこで、次項では音程合わせをうまく乗り切るテクニックを紹介します。(^^)/
どうしてもチューニングや音程合わせが嫌だ!という人はぜひ実践してみてください。
Ⅲ.今日から使える「チューニング」をうまく乗り切るコツ
さて、うなりの仕組みがわかったところで、明日から使える「チューニング」を乗り越えるコツを伝授します。
音程はすぐに合わせられるものではありませんので、チューニングの時間が苦痛という方は、音程が合うようになるまでの一時しのぎとしてぜひご参考ください。
ここで紹介しているコツはあくまでその場しのぎにしかなりませんので、いずれは音程を合わせられるようになりましょう。(^^)/
1.初心者にはあまり意味がない「チューニング」
まずは第1のコツは「初心者にとってチューニングはあまり意味がない」ということを知ることです。
これはチューニングに対する心構えの部分で、コツでも何でもないように思えますが、非常に重要なことです。
実は、「チューニング」は以下の2つスキルがそろって初めて意味を成す作業です。
①奏者は音程がコントロールできる
(Bの音を吹くたびに無意識に音程が変わることがない)
②基準音とそのほかの音程の関係を理解している
(Bの音程が分かれば、ほかの音の音程も理解できる)
せっかくチューニングをしても、次に同じ音を出すときに音程が変わってしまっては意味がありません(①のスキル)。
また、チューニングはAもしくはBでしか行いませんので、基準音からほかの音の音程を推測できないと、基準音以外の音程はバラバラなので意味がないのです(②のスキル)。
このようにチューニングには2つのスキルが必要ですが、このスキルを完全に備えている人はもはや上級者レベルです。
チューニングがうまくいかないのは、そもそもチューニングには上級者レベルのスキルが必要だからです。
最初から音程の合う人はほとんどいません。
チューニングが合わないから自分はダメなんだということはありません。
まずはチューニングを合わせることはとても難しく、合わない方が当たり前だという気持ちでいてください。(^^)/
2.どのレベルの「チューニング」を求められているのか把握しよう
チューニングがどんなに初心者にとって難しいにもかかわらず、指揮者はお構いなしに音程を合わせることを要求してくる場合があります。
これは指揮者が高いレベルのチューニングを目指しているからかもしれません。
実はチューニングにも「程度」がありますので、ご自身のバンドではどの程度のチューニングが求められているのか把握しましょう。
Lv.1のチューニング
Lv.2のチューニング
Lv.3のチューニング
Lv.4のチューニング
Lv.5のチューニング
今回ご紹介するコツが使えるのはせいぜいLv.3程度までです。
しかし世の中のほとんどのバンドはLv.3に収まると思いますので、多くの人には使っていただけると思います。
逆にLv.4以上のバンドでは今回のコツを使っても指揮者に見破られてしまう可能性が高いです。
今回のコツはその場しのぎにしかなりませんので、Ⅳ.の練習方法や先輩たちを参考に、いち早く音程を合わせるスキルを身につけましょう。
3.乗り切るだけなら「小さい音で吹くべし!」
上手くなりたいなら「同じ音量で吹くべし!」
さて、いよいよお待ちかねの「チューニング」をうまく乗り切るテクニックをご紹介します。
「チューニング」をうまく乗り切るテクニックとは
基準音よりもかなり小さな音で吹く
ことです。
実際に聞き比べてみましょう。
通常のLv.2のチューニング
①音量10の440Hzの音
②音量10の443Hzの音
①と②の合成音
小さな音で吹いた場合のLv.2のチューニング
③音量10の440Hzの音
④音量2の443Hzの音
③と④の合成音
③と④の合成音ではすこし「うなり」が目立たなくなったことがお分かりいただけましたでしょうか?
この時の波形は下図のようになっていて、小さく吹くことで振幅の差が縮まることがわかりますね。
うなりは「合成波の振幅が周期的に変動する」という現象ですから、振幅の差が小さくなると、うなりは目立たなくなります。
なぜ音量を変えるだけで、うなりの振幅の差が小さくなったのでしょうか?
それは、山1分波形がずれたときに音がお互いに打ち消し合おうとしますが、その際に片方だけが強いので、完全に打ち消すことができないからです。(下図の右下)
このように、2つの音に音量の差があるとき、うなりの振幅は小さくなります。
よって、チューニングの時だけわざと基準の音よりも小さく吹くことで、うなりが目立たなくなり、
指揮者にスルーしてもらえる可能性がグッと上がる
ということです。
ぜひお試しください。(^^)/
逆に、基準の音と全く同じ音量のとき、うなりは一番目立つようになります。
小さな音でチューニングをごまかしているうちは、絶対に音程は合いませんので、次で紹介する練習でスキルを身に着け、自身が出てきたら徐々に音量を上げていきましょう。
Ⅳ.「チューニング」が怖くなくなる練習方法
楽器演奏において、音程を合わせの練習はとても大切です。
音程を合わせられるようになれば、チューニングは怖くありませんし、自分の音と他の楽器の音がよく混ざって本当に美しいサウンドが鳴ります。
さらに、バンド全体の音程がまとまると奏者の一体感も強まって、演奏がより楽しくなります。
ぜひ今回ご紹介する練習を取り入れて、チューニングを克服するだけでなく、より楽しい楽器ライフを手に入れてください。
1.安定した音程で音を伸ばせるようになろう
Ⅲ.1.でも説明しましたが、チューニングを合わせられるようになるためには、以下の2つのスキルを身に着ける必要があります。
①奏者は音程がコントロールできる
(Bの音を吹くたびに無意識に音程が変わることがない)
②基準音とそのほかの音程の関係を理解している
(Bの音程が分かれば、ほかの音の音程も理解できる)
2つを同時に会得することは難しいので、まずは①について練習しましょう。
(1)mfで8拍(♩=60)、一定の音程で伸ばせるようになろう
まずは、「ロングトーン」と呼ばれる練習から始めることお勧めします。
ロングトーンは特定の音をmfで8拍(♩=60)伸ばす練習のことです。
あまり楽しい練習とは言えませんが非常に重要な練習です。
8拍間伸ばしているうちに音程が下がったり、上がったりしてしまうと、チューニングをしてもすぐに音程が変わってしまうので意味がありませんし、曲中でほかの人と音程を合わせることもできません。
まずは、最も出しやすい1つの音からでよいので、mfで8拍間音程を死守できるようにしましょう。
目指すは「8拍間、チューナーの針がほとんど動かない」という状態です。
この時チューナーの針が真ん中である必要はありません。
まずは音程を合わせるよりも、音程を維持することに集中してください。
音程のチェックには、「チューナー」という道具がおすすめです。
「チューナー」は音程を図ってくれる機械なのですが、最近ではスマホのアプリにもありますので、アプリでもいいかもしれません。
~チューナーを使うときの注意事項~
チューナーは一つの音しか拾うことができません。
自分の音ではなく、ほかの人の楽器の音を拾うことが多くあります。
周囲に他の音があるときは、チューナーマイクを使うようにしましょう。
チューナー用マイク
チューナーアプリ用マイク
(2)全音階の2オクターブ(15音)で同じように練習しよう
最も吹きやすい音で、8拍間チューナーの針が動かない状態を作れたら、その音を中心に上下1オクターブずつの全音階でも同じ練習をしましょう。
このときも各音で、チューナーの針が真ん中である必要はありません。
まずはリラックスして、8拍間音程を維持することだけに集中してください。
(3)半音階の2オクターブ(23音)で同じように練習しよう
2オクターブの全音階で音程を維持できるようになったら、次は半音階でも同じことを練習しましょう。
8拍間チューナーの針が動かない状態を作りましょう。
ただし、チューナーの針が真ん中を指す必要はありません。
ここまでくると音程の維持の仕方がある程度わかってくると思います。
少し余裕も出てきたら、どのようにアクションしたら音程がどう変化するのかにも注意を向けましょう。
次の音程を合わせる練習につながります。
(4)半音階の2オクターブ(23音)で音量を変えて練習しよう
(3)の練習に慣れてきたら、音量を変えてfやpでも行ってください。
音量が変わるだけでも音程がグッと不安定になると思います。
くどいですが、ここでもチューナーの針が真ん中を指す必要はありません。
8拍間チューナーの針が動かないということだけに集中してください。
ここまでくると、どのようにアクションしたら音程がどう変化するのかについても、かなりわかってくると思います。
さらには、pで吹き始めてクレッシェンドしてfにするなど、8拍間の中で音量を変えて練習すると効果的です(上の楽譜の①~④)。
これでもチューナーの針がびた一文動かない状態が作れるようになれば、音程の維持については完璧です。
以降の練習が非常にスムーズに進みます。(^^)/
2.「うなり」聞いて、音程を調整しよう
(1)「うなり」を聞こう
ロングトーンで音程を一定に保てるようになったら、次は基準の音を鳴らしながらロングトーンを行いましょう。
そして、基準音と自分の音を聞き比べて、「1秒間に何回うなりが発生しているか」を注意深く聞きましょう。
チューナーには音程を再生する機能があるので、基準音にはチューナーを使うことをお勧めします。
ただし、チューナーの再生音は楽器音に比べると小さい場合が多いので、可能な限り音を大きくする工夫をして、再生音を楽器音と同じ音量にしましょう。
私の場合は基準音をイヤホンで聞いたり、アンプに繋いだハーモニーディレクターを使っていました。
音量差があるとうなりは目立たなくなりますので、基準音の音量には気を配りましょう。
可能であれば、上級者の人と一緒にロングトーンをして、その際のうなりを注意深く聞きましょう。
同じ楽器同士であれば、音量が近くなりますので、うなりがより感じやすくなります。
(2)音程を調整しよう
うなりを聞けるようになったら、うなりが少なくなるように音程を調整しましょう。
まずは音程を下げてみて、うなりの数が増えたなら音程を上げましょう。
うなりが減ったならそのまま音程を下げていきましょう。
そして、うなりが0回になったら、そこで音程をキープしましょう。
ここでの注意事項として、チューナーの針を中心に合わせるという音程合わせの方法は
絶対にしないでください。
耳を使わずにチューナーの針を見て音程を合わせる癖がつくと、
次項の音程のイメージを持つという練習が非常に困難になります。
必ず基準音と自身の音とのうなりを聞いて音程を合わせるようにしましょう。
この作業をロングトーンのときと同じように、最終的には2オクターブの半音階でやりましょう。
この際、全体的に音が低いときは管を入れ、音が高いときは管を抜くなどして、調整してください。
3.正しい音程のイメージを持って、イメージ通りの音を出そう
(1)正しい音程のイメージを持とう
2.の練習を続けることで、だんだんと自分の音程の癖に気が付いてくると思います。
(Aがいつも高めになるなど)
おおよそ自分の癖がつかめてきたら、音の出だしからうなりが0回になるように音程を狙いましょう。
ここでのポイントは、
音を出す前に「頭の中で基準音を鳴らす」
ことです。
頭の中で鳴っている基準音に音程が合うように、自身の音を出しましょう。
ここまで練習すると、各音に対してどの程度音程アクションをすれば音程が合うか大体わかっていると思うのですが、
「次はいつも高くなるAだからとりあえず低めに吹こう」と考えて吹くのはNGです。
「基準となるAの音を吹く直前に頭の中で鳴らして、それと同じ音を出す」という思考の順番が非常に肝心です。
この「基準となる音を頭の中で鳴らす」ということがすなわち「正しい音程のイメージを持つ」ということで、チューニングに必要なスキルの②である「基準音とそのほかの音程の関係を理解している」ということなのです。
(2)イメージ通りの音を出そう
頭の中に正しい音程をイメージできるようになったら、あとはそれを実際に音として出すだけです。
「頭の中の基準音」と「実際に楽器から鳴っている音」が合致しているかどうかを調べるには、録音が効果的です。
ロングトーンを録音しておいて、あとから実際に基準音と照らし合わせながら聞いてみてください。
思いのほか音程がずれていると思います。
これを繰り返すことで、だんだんと「頭の中の音」と「実際に出る音」が近くなっていきます。
「基準となるAの音を吹く直前に頭の中で鳴らして、それと同じ音を出す」というスキルを獲得できれば、もうチューニングは怖くありません。
次に紹介する方法でチューニングを行えば、自裁に音程を合わせることができます。
4.もう怖くない!チューニングの方法
以下の2ステップでチューニングを行えば、もう完璧です。
意のままの音程で演奏することができるようになると思います。(^^)/
(1)「実際に鳴っている基準音」と「頭の中の基準音」の音程を合わせる
練習の3.でも説明しましたが、楽器を演奏するときには、最初に頭の中に基準音を鳴らすことが大事です。
よって、チューニングでは最初に頭の中の基準音を合わせます。
Aの音でチューニングする場合、最初に「実際に鳴っているAの基準音」と「頭の中のAの基準音」の音程を合わせます。
「頭の中の基準音」は結構曖昧なので、日によって音程感覚に差があります。
日によっては440HzのAの音が高く感じたり、低く感じたりするものです。
「頭の中のAの基準音」の調整ができれば、あとはそれをもとに他の音の基準音も頭の中で作ります。
「Aがこの音程ならCはこのくらいの音程だな」という感じです。
(2)「頭の中の基準音」と「実際に楽器から鳴っている音の音程」の音程を合わせる
頭の中の調整が終わったら、次に楽器の調整を行います。
まずは、「基準のAの音」が鳴っている中で、先ほど合わせた「頭の中の基準音」を狙って音を出してみます。
その際、「頭の中の基準音」と「実際に楽器から鳴っている音の音程」が違っていたら、管の抜き挿しをして、頭の中の基準音と同じ音程の音が出るように楽器を調整します。
この時「実際に鳴っているAの基準音」とのうなりを頼りに音程を調整するのです。
これで、チューニングは完了です。
自信の思いのままの音程が出せるようになるまでには、相当な努力が必要ですが、音程が合うようになれば合奏はより楽しくなりますし、楽器の演奏スキルも上達します。
時には経験者や楽器の講師に習うこともよい刺激になると思います。
ぜひ継続的に練習を続けて、ご自身のスキルアップを目指してください!(^^♪
Ⅴ.配布物
今回波形のを作成するためにエクセルシートを作成しました。
今回ご紹介した波形は周波数が近しい合成波の波形でしたが、複雑な合成波の波形も作成可能です。
例えば、和音の中でのうなり(平均律)やオクターブ違いのチューニングでのうなり(220Hzと441Hzのとき)の波形など 。
ぜひご活用ください。
Ⅵ.参考
チューニングの音源は「WaveGene」というソフトを使って作成しました。
簡単に合成波を作れるので、ぜひご活用ください。
最後までお読みいただき本当にありがとうございます。
今回ご紹介したテクニックで、うまくチューニングを切り抜けたり、チューニングをうまく活用できたりできれば大変幸せです。
次回の記事では「スケール」について解説しています。
ドュアーって何?
スケール練習のおすすめの方法は?
といった疑問にお答えしています。(#^^#)
これだけは知っておきたい合奏用語かんたん解説!! 第1回 ドイツ音名と実音
指揮者「みんな1回ベーの音出してくれる?」
奏者(は?べーって何????)
皆さんこんにちは!
このブログの筆者のドミトリーです!(^^)/
今回からは、合奏用語解説と銘打ちまして、吹奏楽の合奏でよく使われる言葉について解説をしていきます。
初めて合奏に加わる人にもわかるよう簡単に解説しますので、この記事を読んで指揮者の言っていることをどんどん理解していきましょう!(^^♪
記念すべき第1回は「音の名前」について解説します。
合奏では普段聞きなれない「ベー」とか「ツェー」とかの言葉が飛び交います。
今回はこいつらが一体なにもので、なんで指揮者はこんな言葉を使っているのかについて簡単に解説していきます。
この記事を読めば、音の名前の種類と指揮者がなぜドイツ音名を使うのかについて理解していただけることでしょう。
また、ドイツ音名の覚え方についても解説していますので、
指揮者の要求する音を瞬時に出せるようになります。
本記事はドイツ音名を総括的にまとめていますので、初心者の方には分かりにくいかもしれません。
初心者の方は自身の楽器に合ったドイツ音名の覚え方をお勧めします。
↓の記事で解説していますので、ぜひご参照ください。(2021年7月10日)
ーーー簡単な自己紹介ーーー
私は現在とある一般サークルのバンドで指揮者をしています。
しかしこれまで音楽の勉強を真面目にやったことがない「愚か者」でした。
ドラッカーの本を読んで、これを猛省し、現在は音楽の勉強をするようになりました。
ここでは音楽初心者から経験者まで、ご自身の音楽活動に役立つように、私が勉強したことをわかりやすく発信していきます!
- Ⅰ.「ベー」っていったい何者なの?(音名の種類)
- Ⅱ.指揮者がドイツ音名を使う理由(同じ「ド」でも違う音)
- 指揮者がドイツ音名を使う理由のまとめ
- Ⅲ.覚えよう!ドイツ音名
- 1.ドイツ音名を覚えよう(全音階編)
- 2.ドイツ音名を覚えよう(フラット系編)
- 3.ドイツ音名を覚えよう(シャープ系編)
- Ⅳ.自分の楽器の「記譜音と実音の関係」を理解しよう
- Ⅴ.まとめ
Ⅰ.「ベー」っていったい何者なの?(音名の種類)
始めに、冒頭で出た「ベー」について解説します。
結論を先に言ってしまえば、「ベー」とはアルファベットの「B」をドイツ語で発音したもので、「シ♭」の音のことです。
つまりドイツ語の「シ♭」のことですね。
「ドレミファソラシ」も音の名前ですが、これはイタリア語です。
音の名前のことを音名と呼び、よく使われる音名にはほかにも英語や日本語バージョンがあります。
なんだ。
それなら最初から「ドレミ」で言えばいいじゃないか。
ほーほー、なるほど。
指揮者の人たちは頭がいいアピールのために、医者の書くカルテの真似をして、
わざわざドイツ語で音を言っているのか。
そうかそうか、なんて偉そうぶる醜い奴だ!!
などとは思いたくなるかもしれませんが、
ちょっと待ってください。(´;ω;`)
指揮者がわざわざドイツ語で音を言っているのには理由があるのです。
Ⅱ.指揮者がドイツ音名を使う理由(同じ「ド」でも違う音)
指揮者がわざわざドイツ語で音を言うのは
楽譜に書いてある音(記譜音)と実際に鳴る音(実音)が違う
からなのです。
これだけじゃちょっと意味が分かりませんね。
実例を見ていきましょう。
まずはピアノの場合です。
ピアノでは記譜音と実音は同じです。
なので、楽譜に「ド」と書かれていれば、実際に「ド(C)」の音が鳴ります。
イメージ通りですね。
では次に、「フルート、アルトサックス、ホルン、トランペット」の4人で合奏する場合を見てみましょう。
みんな楽譜には「ド」の音が書かれています(記譜音はド)。
これを一斉に演奏した場合は↓のような音が鳴ります。
なんとも耳をふさぎたくなるような、ひどい音ですね。
どうも色々な音が混ざっているようです。
このように、特にアルトサックス、ホルン、トランペットでは
記譜音と実音が違うのです。
しかも、同じ「ド」の表記でも楽器によってその実音は異なります。(上図参照)
では、指揮者がみんなに同じ音を出してほしいときは、どんな指示を出せばいいでしょうか?
実際に鳴る音。つまり実音で指示を出せば、演奏者は理解してくれそうですね。
「実音のドの音を出して」と指示した場合は↓のようになります。
それぞれが対応した記譜音に変換したことでみんな同じ音が出ていますね(^^♪
とすると指揮者は合奏で実音さえ言っていればよいのでしょうか?
実は実音で指示をした場合のデメリットもあります。
実音では、奏者が実音を記譜音に変換する必要があります。
よって、たくさんの音があるフレーズの一部だけを指示するような場合、
記譜音をそのまま言ったほうが奏者には伝わりやすいです。
また、運指について話をするときは、実音よりも記譜音で話したほうがわかりやすい
とうこともあります。
このように、指揮者は記譜音での指示も必要だし、実音での指示も必要なのです。
そうした状況で編み出されたのが
音名を分ける
という手法です。
指揮者が記譜法で指示する場合はイタリア音名をよく使います。
そして、実音で指示する場合はドイツ音名をよく使うことにしています。
音名を分けることで奏者は、記譜音の「ド」なのか、実音の「ド」なのか、瞬時に理解することができるのです。
指揮者がドイツ音名を使う理由のまとめ
記譜音と実音が異なる楽器があるので、
指揮者は記譜音をイタリア音名、実音をドイツ音名として
使い分けて指示を出しているのです。
つまり、「フルート、アルトサックス、ホルン、トランペット」の4人で合奏するとき
指揮者が「ドの音を出して」と言った場合。
指揮者が「C(ツェー)の音出して」と言った場合。
という指示になります。
実音での指示は奏者に変換する手間をかけてしまいますが、指揮者が同じ音をみんなに出してほしいときにはどうしてもドイツ音名で指示したほうが早いです。
なので指揮者は実音での指示を頻繁に出してきます。
残念ですが、合奏に参加する奏者にとって
・ドイツ音名
・自分の楽器の記譜音と実音の関係
の知識は必須です。
でも安心してください!
ドイツ音名は案外すぐに覚えられるものです!
実音と記譜音の違いもこの記事を読めばすぐに理解できるものですよ!(^^)/
Ⅲ.覚えよう!ドイツ音名
以降の記事はドイツ音名を総括的にまとめているので初心者には分かりづらいです。
初心者の方は自身の楽器に合ったドイツ音名の覚え方をお勧めします。
↓の記事で解説していますので、ぜひご参照ください。(2021年7月10日)
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